働きながら学び直しをしたい、様々な社会の課題について学び、解決の方策を考える場があれば…。そんな思いをお持ちの方も多いのではないでしょうか。立教大学大学院21世紀社会デザイン研究科は、設立以来15年間にわたり、主に社会人を対象に、現代における社会デザインの研究と実践に取り組んでいます。ビッグイシュー12月15日号に掲載された、21世紀社会デザイン研究科からのメッセージを採録します。
一人ひとりが現代と未来に生きる希望を創る-21世紀社会デザインを研究・実践する意味
21世紀×社会×デザインから読み解く
皆さんは「21世紀社会デザイン」という言葉を読んで、どんなことをイメージするでしょうか。21世紀、社会、デザイン、それぞれにイメージがあるでしょう。それらの言葉を一つにしたところに、当研究科の価値があります。
それぞれの言葉の意味を考えてみましょう。
21世紀が訪れる前、私たちはどんな未来を想像していたでしょうか。21世紀という言葉に、科学技術の進歩や人間の成熟によって、物質的な豊かさを越えた人類が到達すべき新たな未来をイメージしていたのは少し前のことでした。しかし、実際に21世紀になってみれば、貧困、格差、紛争、差別、環境・・・、どれも過去よりよくなったと断言できることはありません。むしろ、私たち自身が新たなリスクに晒されていると感じることが多いかもしれません。未来への希望こそが私たち一人ひとりの生きる糧のはずですが、いま、私たちは、希望を抱いて日々の生活を送ることができているのでしょうか。
社会は、人と人の交わり、人と人のつながりを根本とし、その総体です。人口の増減や立地条件に関わらず、つながりは希薄になっているのが現代社会の一つの特徴とされています。そうした現代社会に生き辛さを感じる人は案外多いのかもしれません。困っている人が目の前にいるのに、進んで声をかけるのがちょっと憚られるのだとすれば、それはなぜなのでしょう。そんなことを考えなくても、日々の生活は過ぎていきます。しかし、自分の近くのどこに困っている人がいるのか、どんな困りごとを抱えているのか、そんなことを自分のこととして考えることができれば、自分自身もかすかに感じる生き辛さが和らぐのかもしれません。そんな「知恵」や「仕掛け」を一緒に創り出していければと思います。
デザインというと建築とかファッションとか、そういうことを思い浮かべる方が多いと思いますが、ここで言うデザインは「創造」です。現代のこと、社会のこと、そして、自分自身のこと、少しでも、未来の希望につながる方向に進めていきたい、そのための社会技術であり、創造がデザインなのです。
「21世紀社会デザイン」は他人事ではなく自分事
だからこそ、当研究科における「21世紀社会デザイン」は、具体的で実践的です。その対象は貧困、難民、障がい等の社会的排除から社会における生き辛さに苦しむ人々、環境、災害、リスク対応、危機管理、財政、コミュニティの支え合いといった将来にわたる持続可能性、コミュニケーションの一つで、よく生きるために不可欠な文化やアート、その根源にある哲学、さらには、そのための手法であるNGOやNPO、様々なセクター間の協働、ビジネスやCSR、人が集まる場のあり方、社会や組織におけるガバナンス等々、多岐に及びます。「一隅を照らす」という言葉があります。まさに、人が社会と共に、よりよい生き方を探る、その一つひとつに「21世紀社会デザイン」はあるのです。
私たちは、あるべき社会デザインに向け、あらゆるアカデミックな知見、現場から得られた数々の経験を総動員して、社会課題の原因は何か、いかに向き合っていくのか、よりよい方向に改善・解決していくために何が必要なのか、そんな問いを解く研究と実践に取り組んでいます。それは現代と未来への責任を果たすこと、未来の希望を創ることそのものであり、そこに関わる人たち自身の生きがいの創造、まさに自分自身のライフ・デザインにつながることでもあるのです。
ここに集まるのは老若男女、さまざまな能力と経験を持つ多様な人たちです。NPOマネジメント、起業家、経営者、ビジネスパーソン、公務員、アーティスト・・・、共通するのは、社会と共によく生きる、そのために必要な社会デザインを探究していこうという思いを持つ人ばかりです。さあ、皆さんも、社会デザインの扉を開けてみませんか。
立教大学大学院 21世紀社会デザイン研究科
http://www.rikkyo.ac.jp/sindaigakuin/sd/
【お問い合わせ】教務部 独立研究科事務室
TEL 03-3985-3321
[ビッグイシュー・オンライン編集部より: [この記事は「立教大学大学院21世紀デザイン研究科の提供でお送りしています]