SNSなどで、「ビッグイシューを買う勇気がない」というお声を時々拝見します。
今年は最近気になる「ビッグイシュー」という雑誌を勇気を出して路上販売員から購入してみたい。生活困窮者のお役に少しでも役に立てれば…。という自分もそんなに経済的に余裕があるわけではないけれど!
— あんそにー2世 (@Ben2009Senoue13) January 4, 2023
ビッグイシューを買う勇気を僕にください
今日目があったおじさんごめん
— 🥪ツンす🍔 (@inuk_radio) 2018年1月19日
ビッグイシューを買うのに勇気が必要な理由は様々だと思いますが、オンライン編集部で、その理由を想像してみました。
1.路上で財布を出す習慣がなくドキドキする
2.知らない人に話しかける勇気が出ない
3.「ホームレスの人」って、どんな人かわからなくてちょっと怖い
4.販売者と話しているのをほかの通行人に見られるのが恥ずかしい
今回は、上記でご心配いただいていることの分析と、安心材料をご提供したいと思います。
1.「路上で財布を出す習慣がなくドキドキする」
路上で財布を出すのがドキドキ、という方もいらっしゃるかと思います。
高額なやりとりが発生するのであれば確かにドキドキしますが、ビッグイシューは1冊350円。自動販売機で500円玉を使ったことのある方であれば、問題なくご購入いただけます。
▼初めて買いましたTweetのご紹介
初めて『ビッグイシュー』買ってみた!これまでも気になってはいたんだけど、街中でお財布出すことへのためらいとか、販売者がお釣りを持ってるのかわからない不安とかで、なかなか買えなかった。お釣り用の小銭を持ってることがわかったから次回も買うぞ~。今回の特集は『パディントン2』で楽しみだ
— カエル (@kaoru_elisabeth) 2018年1月17日
2.「知らない人に話しかける勇気が出ない」
「知らない人に話しかけるのが…」という声もよくお伺いします。
しかし、皆さんが普段の生活でモノを買う際にやり取りする方々は、「知っている人」でしょうか?
お店でのお買い物の際、レジにいらっしゃる方はお知り合いとは限らないと思います。
「それは…レジの仕事してるってわかってるから怖くないんだよ」というお声もいただきます。
ビッグイシュー販売者も、ビッグイシューを販売することがお仕事です。
販売者は8つの行動規範に同意のうえ、顔写真と販売者番号の入った身分証明書を身につけて雑誌を販売していますので、ご安心いただければと思います。
販売のしくみ&行動規範:https://www.bigissue.jp/about/system/
▼初めて買いましたTweetのご紹介
Twitterで宣伝見て気になってた号が有って、昨日駅前で販売されてたので初めてビッグイシュー買った。なんとなく知ってたつもりだったけど、買って知った要素もある。その方はバックナンバーもクリアケースにディスプレイされて売ってたり、こういう規範が有ったり、おつりのご用意もあったり。 pic.twitter.com/sOp8OcDQub
— yossi (@Yoshirorossi) 2017年12月18日
3.「ホームレスの人」って、どんな人かわからなくてちょっと怖い
ホームレスの方への支援団体などでボランティアをしたことがある、といったことでもない限り、多くの人はホームレス状態の人との接点がないため「ホームレスの人って、”普通の人”とは違うっぽい」という印象を持ちがちです。
現在はホームレス状態であったとしても、その前は皆さんと同じように、屋根の下で生まれて育ち、働いていた人たちです。
元は建設現場で日雇い労働者として働いていたけれど体を壊した、非正規雇用従業員だったけれどリストラに遭ってしまった、住み込みの調理人だったけれど、倒産して住まいと仕事を同時に失った…等、「仕事」と「貯金」と「住まい」を失い、頼れる人がない、という状態の人に過ぎません。
明るくよく話す販売者もいれば寡黙な販売者もいたりと、タイプは様々ですが、みな真面目に販売に取り組んでおります。お気軽にお声掛け頂ければ幸いです。
販売者のエピソード紹介「今月の人」
販売者紹介:https://www.bigissue.jp/buy/
▼初めて買いましたTweetのご紹介
初めて路上でビッグイシューを買いました。販売員さんはとても丁寧な方でした^_^
#ねこ #BIGISSUE pic.twitter.com/DIOinMdYFI— 吉井ヨーコ (@yoshiyoshiyoko) 2017年12月7日
今日はじめてビッグイシュー売ってるとこ見たから買った。授業で聞いて、一度は買いたいと思ってたんよね。
帰ったらじっくり読みます。
すごく気さくで優しいじいさんでした。— せりぬん (@serinu_n) 2017年9月26日
あ、そういえばね、昨日ビッグイシュー買った時ぶっちゃけホームレスの人って匂うかな?って思ってたんだけど(これまた恥ずかしい話だがあえて隠さずつぶやきます)、まあ確かに多少匂うんだけども、普通に話してるぶんにはそうでもないし、ぶっちゃけ会社でもっと匂う人居るしな!って思いました笑→
— このきなこを法と心得よ! (@dynamic_omt) 2017年9月16日
4.販売者と話しているのをほかの通行人に見られるのが恥ずかしい
「販売者と話しているのをほかの通行人に見られるのが恥ずかしい」という声もあります。
恥かしい、という気持ちはどこから来るのでしょうか。
例えばクラスで誰も手を挙げていないのに、一人手を挙げることはためらわれる…という学生は多いですね。もしそのような気持ちなのだとしたら、「誰もしていないことなのに、自分だけするのが恥ずかしい」ということなのだと思います。
でもこちらも心配ございません。
たとえビッグイシューを購入している人を見たことがなくても、東京の販売者平均で1日15~20冊販売しています。「誰もしていないことだから」と遠慮しなくても大丈夫です。
▼初めて買いましたTweetのご紹介
ビッグイシュー、九段下や神保町だと買ってる人よく見かけるからやっぱ場所で売れ行き違うんだろうなあ。たまたまか女性の購入者をよく見かける気がする
— オオカワ (@huntinggirled) 2017年1月16日
ついに先日、梅田(JR御堂筋口)で
初、ビッグイシュー買いました!
何故か、すごく緊張した。
けど、何か自分自身
前に進めた気がします。
販売員のおっちゃんいい人でした。
中身の「今月の人」には
特に感動してうるっときました。
また機会があれば買います! pic.twitter.com/AEYIruFqMv— に な (@the_water_edge) 2017年11月10日
昨日、新宿で初めて直接販売員さんからビッグイシュー買いました!明るい元気な声が印象的。こっちも元気を貰いましたよ、ありがとう! #ビッグイシュー
— まるく (@kuromaruku) 2018年1月22日
ある女性からの「初めての購入」レポート
最後に、ある読者の方から、ビッグイシューを初めて購入したというレポートをいただいたので紹介します。
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19:36分発、いつもと同じ時間の乗りなれた通勤電車。最強寒波到来のせいか、満員の車内も、さすがに寒く感じます。駅までの道のりで冷え切った手を温めながら、カバンから取り出したのは、今朝買ったばかりの雑誌『ビッグイシュー(THE BIG ISSUE)』。
エマ・ストーンやユアン・マクレガーなど、名だたるハリウッドスターが、煌びやかに表紙を飾ることもあれば、時には凛々しい眼差しの猫のポートレートのことも。あるいは、「なにそれ?」と思わせる特集タイトルのものも。例えば、307号。表紙にはハンバーグ定食らしきものを運ぶ店員と、それを待つ女性のイラスト。特集タイトルは“どこにもない食堂”。イラストから受けるワクワク感と重なって、「どんな食堂の特集?」と、想像力を掻き立てられます。
販売員の多くはホームレスの状態にある人で、「なんとなく怖そう」「声のかけ方がわからない」といった、「壁」を感じる人が多いようです。
そこで、販売者3年目だというAさんに伺ったお話をまとめてみました。
神戸元町の販売者、Aさん。写真:日比野智美さん
Q:雑誌の販売をする上で、心掛けていることはありますか?
「身なりを整えて、怖い印象を与えないよう表情にも気を付けています。通行する人の邪魔になっていないか、気も遣います。お客さんに時間を取らせないよう、お釣りも準備しています。」
Q:雑誌の販売を始めて、何か発見はありましたか?
「手渡しの販売だから、自然に何気ない会話が交わせることが楽しみですね。大学教授とか、議員さんとか、この仕事をしてなかったら縁はなかった、ありとあらゆる職種の人と話せる。面白いですよ。」
Q:雑誌の販売を通して、感じることはありますか?
「常連のお客さんの中には本音で話せる人もいて、時には親身になって相談に乗ってくれる人もいます。雑誌の販売をすることで、人とコミュニケーションが取れる。人のやさしさというものを、強く感じるようになりましたね。」
「高い山の上から見える景色はいいものでしょう。でも、麓がどうなっているかはよく見えない。下からしか見えない、いい景色もあるっていうことを知りました。これは、ベテラン販売員さんの受け売りだけどね。」
にこやかに、時に冗談も交えながら、相手が親しみを持ちやすいように話すAさんの様子がとても印象的で、そこに「壁」を感じることはありませんでした。
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わざわざ購入レポートをお寄せくださった日比野智美さん、本当にありがとうございました!
またご購入いただけると幸いです。
最後に、このようなTweetをご紹介します。迷っているうちに、販売者は販売場所を変更してしまうこともありますので、どうか次回見かけた時は、ほんの少し勇気を出して、お声がけ頂ければと思います。
近くの駅でビッグイシュー売ってた人がいなくなったのは、長いこと迷ったのちに買ってみようと決意した矢先だった。もっと早く勇気出してればよかった。無視して歩き去るのではなくて、足を止めて視線を合わせればよかったな。
— yumi (@YHarri0) 2017年10月12日
ビッグイシューの販売場所は全国約120ヵ所。あなたの「勇気が出る瞬間」を、販売者一同首を長くしてお待ちしております。
▼販売場所はこちらです。希望する販売者はプロフィールや販売時間も掲載しています。
https://www.bigissue.jp/buy/