ダイバーなど海に関心のある人ならご存じかもしれないが、20年ほど前に、奄美大島付近の海底で美しい模様が見つかった。砂と貝殻でできた、直径2メートルほどの円型の幾何学的な模様だ。
Photo:大方洋二
2019年7月15日発売の『ビッグイシュー日本版』363号の特集は「多様な魚とたわむれる」。
上記の「ミステリーサークル」の作者は、なんとフグの仲間。
どんな状況でこのサークルを作るかは本誌をご覧いただきたいところだが、「なぜ、ホームレス状態の人が路上で売る雑誌で、魚の特集をするの?」と思う方もいるかもしれない。
「人間がすべての生物の覇者」と思い上がらないために
脊椎動物(哺乳類、鳥類、爬虫類、両生類、魚類)の全種類を合わせると、どのくらいの種類がこの地球にいるかご存じだろうか。答えは約6万種、そしてそのうちの4万種ほどが「魚類」なのだ。
その種の多様性と言ったら、私たちが「魚」といってイメージするものよりかなり豊かだ。
「胸ビレが進化して長細いスジとなり、海底をそのスジを使って歩く」魚、「まるで農業の草引きのように、不要な藻類をつまんで捨ててしまう魚」、「堅いサンゴをゴリゴリとかみ砕く魚」、「状況に合わせてメスとオスが自由に性転換する魚」など……。
生物多様性の観点からいえば、魚類こそが“脊椎動物の覇者”と言える。
それなのに多くの人々は「人類にしか通用しない“資本主義”というルールの覇者」が生物の頂点にいると錯覚しがちだ。
環境を破壊し、自らの健康をも害し、今後何万年かの間に人類が滅びることがあったとしても、多様性を活かして魚類たちは生き残るかもしれない。4万種という圧倒的な数は、「多様性によるリスクヘッジ」という戦略が「種」として成功していることを示していると言えるだろう。
© Pixabay
そんな魚の多様性から、「他者との違いを受け止める姿勢」を学びたい。
『ビッグイシュー日本版』363号特集では、魚譜画家の長嶋祐成さんの魅惑的な魚たちのイラスト&エッセイ、松浦啓一さん(国立科学博物館名誉研究員、水産学博士)からは「多様性、ミステリーだらけの魚たちの暮らし」のお話、吉田将之さん(広島大学大学院統合生命科学研究科准教授、生物学者)からの「魚の〝心〞」についてお話いただいた。
ビッグイシュー363号ではこのほかにも、
・リレーインタビュー。私の分岐点:はるな愛さん
・スペシャルインタビュー:ジェシカ・ロース
・国際:英国発、“グリーンなムスリム”とは?
・ビッグイシュー・アイ:先住民族の反対運動で、ベトナムは原発を白紙撤回
・ホームレス人生相談:6歳の男の子からの「お気に入りのハンカチを友達がちょうだい、と言ってくる」の相談
など盛りだくさんです。
ぜひ路上にてお求めください。
https://www.bigissue.jp/backnumber/363/
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