日本やグローバル社会で「成功」しているという人々は、つい“人類”を中心に、さらには“資本主義的成功”を至上のものとして考えがちだが、たとえば成功のスパンを「人生100年」から「種として存続する期間」、成功の指標を「資本主義的成功」から「多様性」としてみると、ヒトを含む哺乳類は昆虫類に遠く及ばない。
地球上の生物の8割近くを昆虫類が占めている
哺乳類は世界中で約5500種(日本には120種あまり)と言われているのに対し、昆虫類は確認されているだけで約100万種、未確認のものを含むと1000万種を超える。地球上の生物の8割近くを昆虫類が占めていると言われているのだ。
今後何千年、何万年かの間にたとえ人類が滅びることがあったとしても、多様性を活かして小さな昆虫類たちは生き残るかもしれない。事実、世界を牛耳った恐竜が絶滅した際も、昆虫類は生き延びているのだ。この小さいながらも圧倒的な数は、「小さく生きる」「多様性によるリスクヘッジ」という戦略が「種」として成功していることを示していると言えるだろう。
というと、「ムシの話は苦手」などと感じる人もたくさんいるかもしれない。しかし100万から1000万種いる「昆虫」とひとくくりにするのも乱暴な話ではないだろうか。
少し調べてみるだけでも息をのむような美しさ・働きをする昆虫もいる。
*敵に捕食されないために、羽根を透明にすることができる蝶
© Pixabay
*同じく敵に捕食されないために、羽根が葉っぱのような形態になった蝶
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*4億年前から存在するトンボは、当初70センチ以上あったと言われているが、「小さく生きる」ことを選択した。糸のような細さのものも多い。
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*ハチの巣は、最小限の材料で最大限に広い空間をもたらすという六角形の構造。強度も防音も優れているという。
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昆虫たちの活動も活発になって来る春、2019年3月15日発売の『ビッグイシュー日本版355号』では「“小さく生きる”虫たちのすごい生き方」を特集。
特集では昆虫写真家の海野和男さん、動物学者の本川達雄さんに、昆虫の世界の驚くべき幅広さ、奥深さを語ってもらう。
これまでの常識に対して、少し視点を変え、多様性を大切にしていかねば、と思えるテーマを扱った。
『ビッグイシュー日本版』355号ではこのほかにも、
・リレーインタビュー。私の分岐点:俳優 北村有起哉さん
・スペシャルインタビュー:ロニー・ウッド(ザ・ローリング・ストーンズ)
・国際:持続可能なエレクトロニクス文化とは? 「修理の権利」を取り戻す
・ホームレス人生相談:30代男性からの「気分屋の上司で困っています」の相談
など盛りだくさんです。
ぜひ路上にてお求めください。
https://www.bigissue.jp/backnumber/355/
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