2025年6月11日に発表されたILO(国際労働機関)とユニセフの資料によると、世界で1.38億人の子どもたちが農業や家事労働、商品販売、製造などの分野で就労している。このうち約5,400万人は、「最悪の形態の児童労働」――危険な場所での労働や性的虐待を伴うもの、なかには軍事活動への関与など――に従事しているのだ。
2000年以降、2億4,600万人いた児童労働者数は1億3,800万人へとほぼ半減した(アジア太平洋地域では児童労働が6%から3%に減った)ものの、2025年までに完全撤廃という目標には届かず、今後5年以内に問題を解決するには現在のこれまでより11倍の加速が必要な状況だという。
とはいえ、これまで児童労働が多い国へ支援してきた国々も、コロナ禍以降の自国経済への財政、ウクライナ支援など軍事・安全保障分野への資金の集中や「海外支援より国内福祉を」という声の高まりにより、資金援助を減らす傾向にある。欧米諸国が行っていたこの種の援助が減ることで、貧困家庭の子どもが学校に通えなくなり、働かざるを得なくなるのだ。
ただ、一般市民でも児童労働撤廃に向けて取れるアクションはある。大きな構造は簡単に変わらないかもしれないが、せめて悪化させないための介入例を挙げる。
無意識の「安さ重視」を見直す
異様に安いファストファッションや雑貨、食品の裏には、過酷な労働や児童労働が潜んでいることがある。家計とバランスを取りつつ「誰がどこでどう作ったか?」も想像する習慣を持とう。
フェアトレード製品を選ぶ
- 児童労働が問題視される分野で、フェアトレード認証マークのある商品を選ぶ
チョコレート、コーヒー、紅茶、綿製品などを購入するときにフェアトレード認証されているかを確認する - フェアトレードショップで買い物をする・応援をする
開発途上国や地域のオーガニック農家などの生産者から、公正な価格で商品を仕入れている店で買い物をする
参考:フェアトレードの日にチェックしたい、「ものの選び方」を教えてくれるショップ8店
- 倫理的企業を応援する
アパレルや雑貨など、透明なサプライチェーン情報のある企業を選ぶ。サステナビリティや児童労働禁止の方針を開示している企業を支持し購入するとよい。
例:People Tree、パタゴニアなど
参考:ファッション業界を持続可能なものにーー企業のリジェネラティブな取り組みを支持しよう
児童労働について知る・話題にする
児童労働についてのドキュメンタリー映画や書籍などで課題を知り、共有するのも有効だ。
例)映画『バレンタイン一揆』
2012年|日本|64分
制作:認定NPO法人ACE
配給協力:ユナイテッドピープル
https://www.cinemo.info/22m
- 支援団体の応援
日本国内で児童労働撲滅に取り組む団体のSNSアカウントフォロー、寄付等も解決につながる。
例:認定NPO法人ACE(THE BIG ISSUE JAPAN112号で取材)
サムネイル:Johnpeters Anyanwu/iStockphoto