こんにちは、ビッグイシュー・オンライン編集部です。オンライン版独自記事の第一弾として、20代のメンタルヘルスの問題に取り組む「Light Ring.」石井綾華さんへのインタビューを実施しました。30分ほどの対談、その模様を編集してお伝えいたします。




増えつづける20代の自殺、うつ




スクリーンショット 2013 10 19 15 56 12
(石井綾華さん)





イケダ: Light Ring.がどのような活動をしているかを伺ってもいいですか?

石井: Light Ring.は増え続ける20代の自殺問題に対して、若者が若者を支える仕組みづくりを行っているNPO法人です。自殺問題というと、まだ年間3万人以上いると言われていますが、数だけ見れば40~50代が多いのですが、自殺率としては20代が増え続けています。

そこで団体では、うつ病になる方を未然に予防するための事業を行っています。まず現状を整理してみると、うつ病を背景に自殺する20代が1日6〜8人いると言われています。






スクリーンショット 2013 10 24 7 27 10




もちろん様々な自殺の原因があるんですが、特に人間関係を由来としたうつ病が自殺に絡んでくることが多いです。就職ができず、自信を無くして追いつめられて孤立する20代が増えていたり、SNSの時代に人間関係が希薄になってきて悩みを吐き出すことができなくなる人も増えています。

また、これまでのメンタルケアというとカウンセリングや病院などの患者を待っているケアが主流でした。しかし、多くの人がそこに行かないという問題があります。特に若い人では、カウンセリングを受けることに弱者感や敗北感を感じてしまう人もいます。





「身近な人」による支援を



そこで、専門家ではなく友人や恋人が身近な支援を行うことが重要な対策になるのではないかと考えています。

現状は病後の取り組みが多く、1次~3次予防などがありますが、Light Ring.では1次予防にフォーカスしています。具体的には、悩んでいる人ではなく、「悩んでいる人のそばにいる友人や家族」の「支援力」を高めることを主眼において活動を行っています。





スクリーンショット 2013 10 24 7 26 04




イケダ: なるほど、「悩んでいる人の周囲にいる人」にアプローチすることが予防につながるということなんですね。

石井: そうですね。支援者には、近づきすぎてどうしたらよいかわからないことと、逆に遠すぎて何をすればよいのかわからないという2つのパターンがあります。Light Ring.ではスキルアップとコミュニティ事業の2軸で支援力を高めるスキルや知識の提供を行っています。

イケダ: ん、「近づきすぎる」というのは具体的にどういうことなんでしょうか?

石井: たとえば、夜中に電話がかかってきて、そのまま朝まで対応してしまって、寝れないで会社に行っているとか。こういう支え方では、一緒に倒れていってしまうのでよくないんです。そのため、支援者同士で集まり、悩みやノウハウを共有するシェアタイムなどもつくっています。




起業家としての原体験




イケダ: なるほど…そんな感じで悩んでいる人の支援者をサポートしているということですね。ところで、石井さん、失礼ですが年齢はおいくつでしたっけ?

石井: 現在、24歳です。平成元年生まれです。2010年に任意団体こころの病予防プロジェクトa.light(アライト・あらいと)を立ち上げて、2012年にNPO法人Light Ring.として法人化しました。


イケダ: ということは、会社に勤める経験がなく起業という選択をとっているんですね。よく聞かれると思いますが、どうして今の活動をやっているのですか?

石井: 元々、自分が11歳の時に「摂食障害」を経験したこと、そして父親がアルコール依存症とうつでなくなったことが原体験となっています。

自分が問題を抱えていたので、思いのほか"死"というものが近くにあるんだなと実感したと同時に危機感を覚えました。そこで、障害や病気にならないようにするためにはどうすればいいかを考え、"予防"にフォーカスした活動に至っています。

イケダ: 治療までの期間や金銭的なコストは、どのくらいかかっているんですか?

石井: 私の場合は障害になるので、完全に治るのが難しく、期間に関しては自分で自分をコントロールするのに10年かかると言われています。今でも、自分のメンタルが他の人に支配されているような感覚になることもあるんです。

だから、実際にそうなってしまった身として、病院などの"治療"ではなく、"予防"に関する活動をしています。また、メンタルヘルスの分野ではなかなか予防に焦点を当てた活動が活発でないこともきっかけとなっています。

また、治療コストなどに関しては、入退院を2回したことやいまでも薬を飲んでいるので、200万円以上はかかりました。ここで問題なのは、悩んでいる本人もコストがかかっているのはもちろん、身近な人にもコストがかかっていることです。




後編へ続く