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路上に置かれたひとつのゴミ袋。ポリエチレン袋の中には人の形をしたものが座っているようだと気づき、思わず二度見をしてしまう。さて、あなたならこの後どうしますか?
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英国人アーティスト、マックスウェル・ラシュトンが人々の「ホームレス」への視点を問う彫刻作品「Left Out」を発表した。人間のかたちをした鋳造物をごみ袋で覆った作品なのだが、物体としてのアート作品というよりも通行人にどんな反応を引き起こすかを問いかける作品だ。
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▲作品の横に立つマックスウェル 撮影: Liam Thomson

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▲英国人アーティストのマックスウェル・ラシュトンの最新作は、ホームレス問題への人々の意識に疑問を投げかける


作品についてラシュトンはこう説明する。
アートは鑑賞者の中にある。つまり、彼らがどう反応するのか、もしくは全く反応しないのかに。通行人の約7割がこの作品の存在に気づき、その半数が何らかの反応を示しました。後ろを振り返ったり、無視したり、助けようとゴミ袋を破る人など。残りの半数の人たちは、作品を目にしても、そのまま歩き続けました。
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彼は10代の頃、家庭でのトラブルから支援施設で数年を過ごした過去を持つ。彼の妹フランキーがリーズの街でビッグイシュー販売者支援の仕事をしていたことがあったため、ホームレス問題は常に彼の頭のなかにあったという。

彼が「Left Out」の着想を得たのは昨年のこと。とある店から歩いて出たところ、ゴミ袋に足をひっかけたので、思わずくるっとまわり謝ろうとした。なぜなら路上生活者だと思ったからだ。

 「数週間ほど、なんだか変な感情が消えませんでした。」
彼は当時を振り返って言う。
「それ以降、ホームレスの人に対する見方が大きく変わりました。そして、あの経験と同じようなインパクトを残せる作品を作りたいと思ったのです。」

これまでに二度、「Left Out」の作品をロンドンの路上に持ち出し、通行人の反応を録画した。その映像はまたたくまに世界中に広まった。「使い捨て」扱いされる人々というメッセージが世界中の関心事となりつつある。

「この作品は“ひとりの人”ではありません。顔もありませんし、男か女かもわかりません。住む場所をなくし、助けを必要としている“誰か”と考えることができます。文化や宗教といったものは何も示していません。人間性を問うているのです。」彼は説明する。

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人々や国家のあいだを分断する境界線が次々とひかれている今、「Left Out」は自分よりも恵まれない人々をどう扱うのかを考えさせると同時に、人々の無関心さをも露呈する作品である。

映像に映る通り過ぎる人たちを見て、恐ろしいと思ってほしいのです。そして、どんな人になりたいのかを自らに問い、他人に関心を示すことを実践していただきたいのです。
路上に置かれた作品「Left Out」への人々の反応を追った動画

INSP.ngoのご厚意により / The Big Issue UK bigissue.com @BigIssue
写真撮影: Liam Thomson
文:スティーブン・マクケンジー







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ビッグイシューについて

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ビッグイシューは1991年ロンドンで生まれ、日本では2003年9月に創刊したストリートペーパーです。

ビッグイシューはホームレスの人々の「救済」ではなく、「仕事」を提供し自立を応援するビジネスです。1冊350円の雑誌を売ると半分以上の180円が彼らの収入となります。