路上販売だけじゃない。ビッグイシューの販売者の“小商い”、「発送業務」をご紹介

有限会社ビッグイシュー日本では、路上に立つ販売者からの雑誌購入が難しい方のために「定期購読(1年間)」と「図書館購読」という制度をご用意しています。また、2020年4月からは「コロナ緊急3ヶ月通信販売」がスタート(現在は「販売者応援3ヶ月通信販売」に変更)。全国各地のお客さまに雑誌の発送作業を行なうのが、販売者の仕事のひとつになっています。

雑誌の搬入も販売者が行う

雑誌『ビッグイシュー日本版』最新号の発売日前日の朝。ビッグイシュー日本の大阪本社へ大量の届く雑誌の搬入から作業は始まります。

この日、発送業務へ参加した販売者は9名。一部のメンバーは、雑誌を詰んだトラックがビル前に到着にむけてスタンバイ。「来たよ!」の合図とともに、搬入開始です。

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路上販売をする雑誌と、通信販売のため発送する雑誌を分けて搬入していきます。

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発送業務は、路上販売以外の “小商い”として希望する販売者にお願いし、賃金をお渡ししています。

声をかけ合いながら発送作業の準備をして、作業開始

会場に到着してからも互いに声を掛け合い、着々とセッティングが進みます。雑誌『ビッグイシュー日本版』の最新号だけでなく、販売者が購入者にあてて書いた手紙や詩などをまとめた『路上通信』も同封。文字を通じた販売者とのつながりを手にとって感じていただけたら、とお届けしています。

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セッティングが完了した人から、封入作業を開始。セッティングの段取りなど、積極的に声かけをしていたYTさん。封入作業で気をつけていることを伺ってみると「発行物が毎回違うので、間違えずに入れることですね」と話してくれました。

手際よくテキパキとこなすSUさん。さくさくと封入を終えテープを一定の長さに切り、まとまった封筒を紐で結ぶ作業もリズミカルに進み、スピードはダントツの速さだそう。

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手際よく仕上がりも綺麗なSUさんの仕事ぶり

「SUさんのこの作業ぶり、ぜひ見てほしいんです」と、明るい言葉で現場を和ませているSMさんも、負けず劣らず丁寧に作業を完了させていきます。通常ハサミを使って切る固い紐も、SMさんはパンッという音とともに、手で切ることができます。これは、毎月この作業の賜物。それぞれに熟練の技が身についているようでした。

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一瞬で紐を切るSMさん

約3,000冊の雑誌を発送するのに、一人あたりの作業量は、350〜360部。作業開始1時間半を回ったころ、SMさんの「みなさんそろそろ、休憩にしますか〜?」の声かけに「待ってたよ!」とMさん。希望するメンバーが自由に休憩をとります。約20分ほどの休憩から戻り、作業再開。この時点で、残り500冊です。

「みんな集まって仕事ができる貴重な機会」

発送エリアごとに担当を振り分けられており、封入の済んだエリアをスタッフに報告していきます。封入を終えた発送物は、コンテナに入れ積み上げるスタッフをHKさんが手伝っていました。周りの動きをよく見て、必要なときに率先して動いてくださる方です。

HGさんは、黙々と作業を進めながら「だいぶ慣れてきて、体が覚えている感じです。」と笑います。
吉富さんは向かいに座るMさんと時折会話をしながら、和やかな雰囲気と集中して作業を行う時のメリハリをつけ作業。

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繰り広げられる会話ににこやかに反応しながら、しっかりと作業を進めるIさん。
窓際で1人、自分のペースをしっかり守って着実に完了させていくOさんの姿も。
それぞれ、自分にとってやりやすい方法で進められるのがいいところです。

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好評をいただいている手書きシール

 普段は1人で路上に立つ販売者たちですが、「集まって話をしながら作業ができるのも、この場でしかできないことなので、それも楽しんでいるよね」といった声もありました。

作業開始から2時間経過したころ、“発送業務のツートップ”と言われているSUさん、SMさんの担当分の作業が終了。しかしそれで終わるのではなく、他メンバーや、スタッフの作業も手伝っていました。

作業開始3時間ほど経過したところでほとんどのメンバーの作業が終了。積み上げられたコンテナの集荷を見届け、事務所へと戻りました。

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この作業では、販売者への賃金はその日のうちに現金でお支払いします。販売者からは「作業が終わったら、即日でお金もらえるのが助かる」「路上販売以外にも、こういう仕事があると収入になるので助かっている」と声が聞かれました。

 

6時間かかっていた作業が短縮。販売者の変化が目に見える

スタッフからは「以前は定期購読の数も限られていたので、この発送作業はスタッフだけで行っていました。しかしありがたいことに、『販売者応援3ヶ月通信販売』の前身である『コロナ緊急3ヶ月通信販売』や定期購読の購読者が増えた時期にスタッフだけでは作業が追いつかなくなり、『販売者の“仕事”としてお願いできないか』と社内で声が上がりました。今ではスタッフは準備や管理をしっかりやっておけば、発送の大部分は販売者さんが率先してやってくださいます。

スピードも格段に速くなりました。同じくらいの部数でも、はじめは6時間ほどかかっていたものが、だんだん速くなって今では2〜3時間で終わらせてもらえます。

販売者さんの中には、このような作業が得意で、発送作業を通して自信をつけてこられる方もおられます。また、スタッフと販売者の一体感が得られる場にもなっています。

路上で雑誌を買っていただくのが一番いいのですが、それができない方には発送作業を通して読者の皆さまと販売者さんがつながっていけるようなあり方を考えていきたいです。」とコメントがありました。

定期購読について

図書館購読について

販売者応援3ヶ月通信販売について

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『ビッグイシュ―オーストラリア』では、他社の発送業務も代行している。
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