全国の慎重・反対派、そして推進・中立派にも読んでもらいたい記事がある。『ビッグイシュー日本版』297号の特集<29の原発を止めた人とまち>。この号の読みどころをピックアップする。

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『ビッグイシュー日本版』297号の特集<29の原発を止めた人とまち>

1950年代から60年代にかけて、核の平和利用とともに各地で原発計画が進められていった。しかし同時に29か所のまちで市民がその原発計画を止めてきたという。
50年近くに及ぶ原子力発電と市民運動の歴史について、原子力資料情報室・共同代表の西尾漠さん、伴英幸さんが振り返った。

また、実際に原発を止めた3つのまちの、笹口孝明さん(新潟県・角海浜の巻原発)、大石琢照さん(三重県の芦浜原発)、濱一己さん(和歌山県の日高原発)に、それぞれに原発を止めるに至ったプロセスをお伺いした。

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各地で展開される原発推進派の活動の内容とは?

各地で原発推進派は様々な活動を行っている。
たとえば宮城県女川町では
 広告代理店が入り込んで、
反対している人を動かすには誰に働きかければいいか人脈を探っていた

福島県浪江町では
推進派による「タダ酒の呑み会が何十回となく」行われ、役場や農協、電力への子どもの就職もちらつかせた

日高町では
原発が建てば、町には50億円の交付金が入る。町長も町議会も誘致を推進。漁師たちは電力会社が旅費を負担する視察旅行に連れ出されては宴会やお土産でもてなされ「原発は安全です」と聞かされる”
就職のあっせんや高額の保証金などをちらつかされる

電力会社は用地取得の際は別の用途として進める可能性がある

また、用地取得においても電力会社は当初は隠して進めることがあるという。

笹口さん
“東北電力は65~67年頃から、レジャー施設を作る名目で角海浜野土地買収を進め始めました”

濱さん
“関西電力の株主である不動産会社が『ゴルフ場を作る』といってこのあたりの土地を買収した。しかし本当は原発を作る計画だったようで…。
国も電力会社も、そうやってウソをついて近づいてくるんです“
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まるで映画や漫画のなかのようなエピソードだが、全国各地で実際にこういったことが進められてきたのだ。
そして、それらの策に推進派が取り込まれ、派閥の数を増やしていってしまうとき、慎重・反対派はどのように動いていったのか。

これらの話は、人口減や高齢化、目立った産業のない地方にとっては他人事ではない。
原発計画に狙いを定められた時、納得する道を選ぶことができる町とは?
ぜひ今号の特集をご購入して先駆者たちのお話をご一読ください。

『ビッグイシュー日本版』297号

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原発反対運動を扱ったドキュメンタリー映画もある。
原発の是非を考える地域は、自主上映会を開催し議論してみるのもよい。

山口県上関町祝島での原発反対運動を扱ったドキュメンタリー映画。



「内部被ばくを生き抜く」
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特集「わがや電力」自立電源生活レシピ
"フルオフグリッド"の生活を取材、あなたもしたくなる「わがや電力」のレシピを大公開。
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特集:市民発電所 都市・里・山の試み
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