最終処分の方法を研究する「深地層研究センター」。処分施設化を窺う?日本原子力研究開発機構

Genpatsu

(2014年9月1日発売、THE BIG ISSUE JAPAN 247号より)

最終処分の方法を研究、「深地層研究センター」。処分施設化を窺う?日本原子力研究開発機構

 原発から出るごみの処分を研究している施設を北海道に訪ねた。稚内市から1時間あまり南下した幌延町にある「深地層研究センター」だ。広大な牧場に囲まれた中に施設はあった。人が近づけば20秒ほどで死に至るという強いレベルの放射能を、地下深くに埋め捨てることで、人間の生活環境から隔離するための研究を行う日本で唯一の施設だ。研究主体は日本原子力研究開発機構(以下、機構)。

 放射性廃棄物は高さ1メートル強の筒状の容器にガラスと一緒に溶かして固め、さらに厚さ19センチの鉄の容器に入れ、その周囲を厚さ70センチの粘土(ベントナイト)で覆う形で処分することが考えられているが、この実物大の模型が展示されていた。これほど大がかりになるのは放射能の寿命が長いからだ。10万年にわたって漏れ出ない保証はなく、放射能が環境に出てくることは避けられない。ただ、将来世代の被曝を低く抑えようとしているだけ。

 施設の建設が始まったのは2003年。今年から地下350メートルで、廃棄物の発熱を模して周辺への影響を調べる試験や、放射能を模した物質の地層中での移動などについて試験が始まる。

 機構は当初、ガラス固化体の貯蔵計画も考えたが、住民の強い反対で撤回した。そして地元自治体との協定で、この施設では放射能を使わず、研究期間を20年程度とし、終了後に埋め戻すことを約束している。最終処分場にしないことも明記されている。

 しかし、建設に先立つ調査機材を夜陰にまぎれてヘリコプターで運び込んだことから、機構への不信が強い。町長も「自分の時代は協定を守るが、次の時代は白紙で考えればいい」と議会で発言している。機構内部からも「埋め戻すのはもったいない」といった発言が出ている。地元ではこのまま機構が居座り最終処分場にされてしまう、との疑念が拭えない。約束を守って信頼につなげることが重要だ。

 地下深部のことは十分に把握できていないのが現状だ。当分の間は埋め捨ては考えずに新たな場所での研究を続け、廃棄物は地表できちんと管理するべきだ。