「平和は祈っても訪れません。私たちの行動によって訪れるんです」:ダライ・ラマ14世にインタビュー

「ビッグイシュー日本版」276号から、読みどころをピックアップいたします。

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あなたが幸せでいられる場所はどこでもあなたの家

最新号では、「ダライ・ラマ14世」のインタビューを掲載しています。インタビューの一部を、ピックアップしてみましょう。

 

ーあなたは世界で最も有名な難民です。長い間、祖国を追われ、地理的な場所以外に自分の居場所を発見されましたか?

チベットにはこんな格言があります。『あなたが幸せでいられる場所はどこでもあなたの家。あなたに親切にしてくれる人は誰でもあなたの親』。

『私はチベット人だ』とか、『私は仏教徒だ』とか、そういった違いにこだわるべきではありません。強調すれば距離を生んでしまうことになります。

ーシリアなどから逃れてくる人々に結びつきを感じますか?

人間が作り出した難民問題には今、さまざまな原因が絡み合っています。以前は政治的な理由によるものでしたが、今日、難民としてやってくる人々には宗教的な理由も大きい。

宗教的な理由で殺し合うなど、考えられないことです。全ての宗教は伝統的に思いやり、愛、寛容について語っています。

9回失敗しても、9回チャレンジすればいい

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ー全ての宗教は平和を唱えていまが、戦争を正当化するためにも利用されます。宗教には影の側面があるのでしょうか?それとも私たちの中に影の側面があるのでしょうか?

宗教に影の側面があるのではありません。真理は一つ、宗教は一つという考え方は何世紀も前からあります。

私はいつもここで線引きをするのですが、個人の場合は、真理は一つ、宗教は一つという考えは非常に有益です。しかし、コミュニティとなると、それは非現実的です。真理も宗教も複数あるという考え方を身につけるべきです。

どれかの宗教を排除するのは無理です。共存しなければなりません。

互いを尊重し、互いを理解し、宗教的に調和するほうがはるかはるかにいいし、それは可能です。私は宗教的な調和に全力を尽くしています。

ーあなたは、ツイッターに「人間性の未来を祈りや好意だけで実現させるという考え方は非現実的だ。私たちは行動を起こす必要がある」と投稿されていましたね。

以前、広島でノーベル平和賞受賞者たちとサミットを行いました。一人の人がこういって会談を始めました。

『平和がもたらされるように神に祈りましょう。』

その時、私はこう言いました。

平和は祈っても訪れません。平和は私たちの行動によって訪れるんです。

基本的な人間性は思いやり。

ー一生のうちに目にしたい根本的な社会変革を挙げるとすれば?

こどもは宗教や国籍、家柄なんて気にかけていません。今の私たちはこどもたちの心に、お金のほうが大事、力のほうが大事、宗教の違いや信仰のほうが大事だと植えつけています。

ですが、心は宗教的な問題ではなく、幼稚園から大学までアカデミックなテーマとして捉えるべきなのです。私たちが試みれば、21世紀の世代は今と違った世界を目にできるかもしれません。

近年、宗教的な争いが後を絶ちません。「イスラム国(ISIS)」の問題も連日ニュースで取り上げられる話題になってきています。

ぜひ、最新号の276号を手に取り、ダライ・ラマ14世の考える宗教や世界のあり方について触れてみてください。あなたの心に引っかかっているものが、解けるかもしれません。

最新号では他にも、

・特集:子どもの貧困  生まれる「子ども食堂」

・リレーインタビュー:陣内 貴美子さん

・韓国、「ジャン・バルジャン銀行」

・ホームレス人生相談×枝元なほみの悩みに効く料理

などなど、多彩なコンテンツが掲載されています。ぜひ、路上にてお買い求めください!
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