【連載第13回 米国・路上から】出自で決まる生活再建力  岩田 太郎

今までに、米国のさまざまなところを旅し、ハワイ・ノースカロライナ・オレゴン・イリノイなど、各地に住んだ。そうした体験から、ホームレスの人々にも「ご当地気質」があることがわかってきた。

現在居住するイリノイでは、ホームレスの人に絶望的な表情の人が多い。精神疾患があると思われる人も少なくない。

ところが、オレゴンのホームレスは屈託がない。

「お金を恵んでください」と書かれた段ボールのサインを持って街角に立つ人は、明るく親しみやすい。他の場所の路上生活者にある恥ずかしさ、後ろめたさ、しつこさがない。

また、「一時的にお金がなくなりました」という感じの健康的な若者も多い。

これには、オレゴンが温暖で自然が美しく、いわゆるヒッピーの聖地であることが影響している。白人人口が全体の88%以上で、比較的裕福なところだ。

全米から自由を求めて集まってきた若者は、経済的に恵まれた家庭出身であることが多い。

ホームレスになっても、大学卒で職業的技能がある者が多い。若い時はやんちゃをしても、今はまじめに働く40代、50代、60代の元貧乏ヒッピーに多数出会った。

もっとも、「楽園」オレゴンでも幼い子ども連れのホームレスの物乞いがいて、居ても立ってもいられず、それなりのお金を親につかませることもある。

だが一般的に、出身階層や人脈に恵まれると、家を一時的に失っても立ち直りやすいようだ。その安心感が、オレゴンのホームレスの顔の表情に出るのだろう。

そういえば、数ヵ月前、イリノイである中年の白人女性が大きなバッグを抱え、カフェでウトウトしながらケータイを充電し、電話をすることを数週間繰り返していた。

離婚か何かで住む場所を失ったと見受けた。

だが、身なりがきちんとしており、化粧室でメークまでしてくる。教養がありそうで品のある人だったが、いつの間にかいなくなった。早々と仕事を見つけ、居場所ができたのだと思った。

経済格差というのは、どこまでもついて回る。生活を再建する力まで出自で決まるというのは、不公平で悲しい。