2016年10月22日に開催されたシンポジウム「1つのボールが人生を変える」の講演の模様を書き起こし形式でご共有いたします。※主催:NPO法人ビッグイシュー基金/スポーツフォーソーシャルインクルージョン実行委員会
会場からの質疑応答
Q1. 2020年に東京オリンピック・パラリンピックがありますが、そのタイミングでホームレス・ワールドカップの開催は検討していますか。
A1. 現在は、残念ながら具体的な計画はありません。2020年というタイミングで開催すること自体は歓迎ですが、ホームレス・ワールドカップの本部が東京で開催するかを決定するのではなく、開催都市が立候補するものなので、日本・東京の活動に期待しています。現在、日本で開催されているダイバーシティカップは、ホームレス・ワールドカップ開催のいいきっかけになると思っています。
Q2. ホームレスの人たちの生き方を変えるということに対して、具体的な事例はありますか?
A2. 大会自体を行うことで、世間から注目されます。ホームレス・ワールドカップに参加するにあたり、様々なプログラムに取り組む中で、人生経験、人生の縮図を学べます。加えて、勝ち方だけでなく、負け方・負けた後の対処の方法を学べます。向上心や、国を代表するなどといった目標を達成できるということもプラスに働きます。
Q3. 大会が終わった後に、「サッカーが楽しかったね」だけで終わらせず、次に繋げていくために意識を高める環境づくりはどのようなものがありますか。
A3. 継続的に活動していくことが重要です。サッカーを掴みとし、選手の成長やコミュニケーション能力の醸成が期待できます。サッカーした後のミーティングを通して、振り返りを行うことも大切です。ただ、あくまでも、サッカーはツールでしかありません。各国の支援団体のノウハウを共有することも大事です。
Q4. 運営で困難だったことはなんですか。
A4. なぜ競技種目がサッカーである必要があるのかという理解を得ることです。主催者側はサッカーには大きな力があると思っているが、理解がない方に対して、どのように発信して協力を得ていくかが困難でした。
Q5. ホームレス・ワールドカップ大会を開催するにあたり、どのようにホームレスの方々に周知したのですか。
A5. 発端は、2001年のINSP(international network of street papers)会議です。その会議で、2年後からホームレス・ワールドカップをやることが決まりましたので、支援団体への周知はその会議でできました。ホームレス・ワールドカップの参加者や支援者への周知方法は、各国で事情が異なりますが、1つの例を挙げるとすれば、炊き出しがある場所でポスターを貼るなどで勧誘をしました。ただ、重要なのは参加への一歩を踏み出す勇気です。
※INSPとは、ビッグイシューのような路上支援を雑誌販売で行う団体の国際会議
Q6. メルボルン大会の後で支援策が出た時のプロセスを教えて欲しい。
A6. 詳細は分かりませんが、メルボルン大会では、大会の開催を主導した市民団体の他、社会的な問題に取り組む団体にも直接的に支援を行うことが決定されました。
Q7.ホームレス・ワールドカップにボランティアとして参加するにあたり、移動費の補助などはありますか。
A7. 開催都市までの移動費はボランティアの方が負担します。大会期間中の宿泊先等は、運営本部側で用意します。グラスゴー大会では、360名のボランティアのうち、50名が海外から参加しました。ボランティアの役割としては、各チームに案内役が2名、カメラが詳しい方、ビデオ編集に詳しい方、ピッチの管理に詳しい方など、専門性を活かして大会運営をサポートしてくれています。