(2013年12月1日発売、THE BIG ISSUE JAPAN 228号より)


原発事故は政府・東電による公害。福島市で7千人の脱原発集会



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「私たちの宝物である子どもたちを、命を守るために、原発はもういらない!」

福島市の荒川運動公園で11月2日、脱原発集会とデモ「なくせ!原発 安心して住み続けられる福島を!」が開催され、好天の下、全国から約7千人が参加。ステージでの集会の後、福島市内を2コースに分かれてデモ行進した。

会場では、生業訴訟の原告団や損害賠償を求める被災者らとの交流ブース、飯舘村や浪江町など放射能汚染で避難している住民によるおにぎりや焼きそばの販売コーナーが登場。参加者と被災者が交流しながら、原発事故で失われたものの大きさ、深刻さとともに、同じ被害を二度と生まないため、「福島県内すべての原発廃炉」に向けて声を上げた。

集会で呼びかけ人の早川篤雄さん(楢葉町/宝鏡寺住職)は「原発事故は人災であり、国策と言って推進した政府、事業者の東京電力が起こした原発公害。政府と東電に完全賠償を求め、県内10基すべての廃炉は県民の総意だ。安心して福島県に住み続けられるよう、実現を求めていく」とあいさつ。

ミサオ・レッドウルフさん(首都圏反原発連合)も「福島のみなさんの苦しみはほとんど知られていないのではないか。毎週金曜日のデモで、原発はいらないという意思を可視化し、収束宣言の撤回を政府に申し入れしているが、一刻も早い廃炉を実現しなければならない」と訴えた。金子恵美さん(民主党福島県連特別常任)、市田忠義さん(共産党書記局長)があいさつ。自転車に乗って平和を訴える「ピーチャリ部隊」の若者グループや福島市内で毎週金曜日街頭活動をしている「ふくしまSMILe(すまいる)プロジェクト」、ふくしま復興協働センター子どもチームなどがそれぞれ脱原発を訴えた。

茨城県取手市から参加した海老原文隆さんは「原発は廃炉にしてもらいたい。だが、廃炉作業は技術的にも難しいと聞いている。原発に近いところに住んでいた方の避難生活が長引いていることも心配」と話した。埼玉県所沢市から訪れた水野きみ子さん、岡田尋子さんは「福島原発のような事故は二度と起こしてはならない。事故後から何かボランティアをしたかったが、身体の具合などもあって参加できなかった。今回はイベントに参加することで、被災した方々を応援したいと思って来た。お母さんたちの切実な声を聞き、『子どもたちを安心して育てられる環境づくり』の重要性と、こうして声を上げることの大切さを痛感した」と語った。

(文と写真 藍原寛子)