『ビッグイシュー日本版253号』から、読みどころをピックアップしてお届けします。


ドイツに60軒以上存在する「0円ショップ」の実態を追う

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本日ご紹介するのは、特集「お金こえる!0円ネットワーク」より、ドイツの0円ショップ「システムエラー」。すでに60軒以上の店舗を構える社会運動となっています。

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「システムエラー」は無料の商品が並んでいるショップ。パンや古着、古本が販売され、くつろげるカフェスペースも用意されています。「商品」と書きましたが、ここに陳列されているものはすべて無料で引き取ることができます。

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古着や古本、中古の家庭用品やおもちゃがひしめくスペースは、一見するとセカンドハンドショップかチャリティショップのように見える。(中略)このスペースに一歩足を踏み入れたら、「有料」のものは存在しない。このパンは、パン屋で売れ残って捨てるしかないものをタダでもらってきたものなのだ。

ほとんどの種類のケーキやパンは、焼きたてから1日経つとその商品価値を失う。賞味期限が切れているわけではないのに、売れ残って捨てるしかないパンは、福祉施設などに寄付してもまだ余りあるほど。資本主義社会の中の隠れた社会問題のひとつだ。

「システムエラー」にはちょっとしたルールもあります。ドイツ在住の記者・見市知さんがショップスタッフのヤニナさんを取材しました。

システムエラーには「5品ルール」というのがあって、すべてのものは無料だけど、1日に5品までしか持って帰ってはいけないんです。商品の持ち込みに関しては、思想的なものや政治的に偏ったもの、たとえばナチスの思想を喧伝する本とかそういうものは断っています。あとは、持ち運びが不可能な大きすぎるものも不可。洗濯済みの状態の良いものだけを受け入れています。

記事中では、「システムエラー」というちょっと不思議な名前に込められた思いについても紹介されています。

「システムエラー」のそもそもの目的はチャリティではない。「システムエラー」という名が示す通り、消費社会のシステムの欠陥に対するアイロニーを込めた、非常に政治的な活動として始まった。しかし、この活動にエコロジー的な意味を見出して参加する人もいれば、相互支援という社会的側面を支持する人もいるという。この3つの要素が合わさった「政治プロジェクト」を標榜している。

こうした「0円ネットワーク」は日本でも広がっており、特集の中では世田谷区で行われている0円フリマ「くるくるひろば」、ギブ&ギブの精神で成り立つイベント「バーニングジャパン」が紹介されています。格差が広がるなかで、お金を介さない「0円ネットワーク」はますます広がりを見せていくのでしょう。


253号では他にも、インド映画スターのアーミル・カーンさんのスペシャルインタビュー、東田直樹さんの「自閉症の僕が生きていく風景」、ホームレス人生相談などなどのコンテンツが掲載されております。ぜひ路上にてお買い求めください!


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ビッグイシューについて

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ビッグイシューは1991年ロンドンで生まれ、日本では2003年9月に創刊したストリートペーパーです。

ビッグイシューはホームレスの人々の「救済」ではなく、「仕事」を提供し自立を応援するビジネスです。1冊450円の雑誌を売ると半分以上の230円が彼らの収入となります。