「路上で雑誌を売ってる暇があれば働けばいいのに」と言われることもあるビッグイシュー販売者。ホームレスの人々は、やる気の有無にかかわらず、住所がないゆえに仕事に就けないという事情はあまり知られていない。
そして、ホームレスの人でもできる仕事はビッグイシュー販売や空き缶収集などなど、非常に限られているのが現状だ。
しかし、その常識に風穴を開けるプロジェクトが登場した。
※この記事は『ビッグイシュー日本版』348号の国際記事の一部抜粋となります。
ドイツのストリートペーパー「fifty fifty」が広告代理店とともに企画
そのプロジェクトの概要はこうだ。ドイツのストリートペーパー「fifty fifty」が、その雑誌販売者11人をモデルにさまざまな職業のイメージ写真を撮影、世界最大級の写真素材サイト「ゲッティ・イメージズ(Getty Images)」で販売するのだ。この収益は全額ホームレスの住宅支援に寄付される。
ブログをはじめ、様々な媒体を制作する際「こういう写真素材が欲しいけれど、わざわざ撮影する予算や時間がない」というシーンは多い。そういうニーズにこたえて、写真素材サイトやその利用者はかつてよりぐんと増加しているため、ニーズに合った写真が用意できれば売り上げも期待できるだろう。そのあたりは広告代理店であればお手のものだ。
たとえば下記はファッションデザイナーに扮したカールという販売者。

これを見て、誰がホームレスだと思うだろうか?
同じく、ホールスタッフに扮したジェニファー。

彼らの写真を見て、「ホームレスだ」と感じる人はいまい。しかし、彼らは「職業人のコスプレ」をしただけであり、彼らの人格・中身は変わったわけではない。だが路上にいるだけで不可視化されたり不当な仕打ちを受けたりすることがある。何がいったい、そうさせるのか?を人々に訴えかけるこのプロジェクト。仕掛人や関係者にまつわる詳しい話は『ビッグイシュー日本版』348号にて。
広告代理店や、メディアにかかわる人にぜひ読んでいただきたい記事だ。
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