このほどハンブルク大学の調査で、ドイツ国内に750万人の機能的非識字者がいることが報告された。機能的非識字者とは、就業能力がある成人でも小学校1〜2年生レベルの読み書きしかできない人を指す。
ベルリン在住のノラさん(23歳)は、両親が教育に無関心で小学校では1年生を二度繰り返した。その後、障害児向けの特殊学校に転校して義務教育を修了したのち、現在はレストランで働いている。
「読み書きができない人たちは、それを他人に知られず日常を生き抜く驚くべき知恵をもっています」とドイツ識字教育連盟のブリンクマン氏は語る。「メガネを忘れた」と言って他人に書類を読んでもらったり、字を書かなければならない場面でわざと指をケガする人もいるという。
前述のノラさんは、4年前から夜間学校で学んでいる。「『読み書きができない』とカミングアウトするのはとても勇気のいることでした。でも、人生に対してもっと積極的になりたいと思ったのです 」と話す。将来は、自分でレストランを経営するのが夢だという。
(見市知/参照:Berliner Zeitung)
(2011年6月1日発売、THE BIG ISSUE JAPAN 第168号より)