停電、汚染水の漏えい続く 福島第一原発の後始末 [原発ウォッチ!]

Genpatsu

(2013年4月15日発売、THE BIG ISSUE JAPAN 213号より)

停電、汚染水の漏えい続く福島第一原発の後始末

爆発した福島第一原発の後始末では、いろんなトラブルが起きている。3月には停電がおき、原子炉や燃料プールなどの冷却が最長29時間にわたって不能となった。事なきを得たが、この間に強い余震が起きたらと思うとゾッとした。配電盤の中で焼け焦げた一匹のネズミが発見され、原因はこれだとなった。

4月になると今度は汚染水の漏えい問題が浮上した。原子炉の冷却のために水を循環させているが、問題は破損した建屋に毎日400トンもの地下水が入り込んでくることだ。循環する量はこれよりやや少なくしている。そうしないと逆に建屋から汚染水が漏れ出ていくからだ。しかし、入ってきた地下水は汚染された循環水と混じるので、捨てるわけにはいかない。結局、この分は貯蔵するしかないわけだ。

たまり続ける汚染水は、これまでタンクを作って保管してきた。しかし、それにも限界が近づいてきている。なぜなら、敷地に場所を作るとしても、切り拓いた樹木や土は放射能で汚染されているから、これも貯蔵しなければならないからだ。十分な場所がない。それで、貯蔵池を作って対応することにしたようだ。

東電は地下貯蔵施設と仰々しい言い方をしているが、地面を掘って厚さ1・5ミリのポリエチレンのシートを2枚張りし、上蓋を被せたものだ。7基も作った。空きスペースで作ったので、それぞれ大きさが少しずつ異なっているが、概ね50メートルから60メートル四方で、深さだけは6メートルと一定だ。

7基のうち3基に汚染水が入っていたが、いずれも汚染水漏れが起きた。シートが破れたか、継ぎ目からの水漏れとしか考えられない。やわな施設になったのは、安い工事費と短い工期が理由だろう。漏えい場所を特定するなどとてもできないし、意味がない。

なぜなら特定して修理しても別のところから漏れ出るだろうからだ。東電はせっかく作った貯蔵池を使用することをあきらめ、貯蔵タンクに移し替えるとしている。地下水の汚染となると海の汚染につながるから、これ以上漏らさないためには当然の対応ではある。

流入する地下水を減らそうと、井戸を掘って水をくみ上げているが、効果が上がっていない。冷却期間は10年以上。抜本的な対策が必要だ。

伴 英幸(ばん・ひでゆき)

1951年、三重県生まれ。原子力資料情報室共同代表・事務局長。79年のスリーマイル島原発事故をきっかけとして、脱原発の市民運動などにかかわる。89年脱原発法制定運動の事務局を担当し、90年より原子力資料情報室のスタッフとなる。著書『原子力政策大綱批判』(七つ森書館、2006年)