みなさんこんにちは、ビッグイシュー・オンライン編集部のイケダです。2/1から路上で発売中の232号より、個人的な読みどころをピックアップいたします。
雪エネルギーの可能性
最新号の特集は「雪エネルギー。『雪国』日本の資源」。雪を用いたエネルギーの研究をしてきた媚山政良さん、雪エネルギーを実用化している新潟県安塚町の伊藤親臣さんのインタビューなどが掲載されています。
立ち読み版として、媚山さんのインタビューから、冷熱エネルギーの可能性を抜粋でご紹介します。
「もし雪の山を夏まで保存できたら、どうでしょう?排雪される5000万トンのうち6割でも利用できれば、それは200リットルのドラム缶にして150万本分の石油と同じ冷熱エネルギーに相当します。そして重要なのは、夏まで保存するのは、ちょっとした工夫で簡単にできるということなんです。」
「雪エネルギー」の活用事例としてまず紹介されているのは「雪室」。断熱材で囲んだ一つの部屋に雪を入れて、余った空間に野菜を貯蔵するという自然の冷蔵庫です。
その結果は、予想以上のものだった。雪は夏が来ても消えることなく、野菜を冷やしつづけた。しかも貯蔵が大変むずかしいといわれてきた長芋は、電気冷蔵庫で保存した場合およそ30日で5%しなびる(減耗する)のが普通だったが、この雪室に貯蔵すれば300日たっても4%しかしなびず、それまでの10倍以上の期間、保存できるようになったのだ。
野菜の貯蔵だけでなく、雪は「冷房」にも活用せています。事例として北海道美唄市の「雪冷房マンション」が紹介されています。
美唄市にはいくつもの雪冷房施設がありますが、中でも最も注目されて きたのは「雪冷房マンション」でしょう。集合住宅やマンションとしては 世界初でした。以下のような流れで雪を貯蔵します。
1.駐車場に積もった雪を貯雪庫の前に寄せる
2.雪解け(春先)に貯雪庫の大きな扉を開け、ロータリー車を使って中に入れる
3.貯雪庫内で夏まで保存
4.夏に少しずつ雪を解かしマンション内の冷房に利用
雪冷房はあの新千歳空港でも導入されています。すでに年間冷房の1/4をまかなっているというから驚き。
09年には北海道・新千歳空港の滑走路沿いに、縦100メートル、横200メートル、高さ9メートルもの巨大な雪山をつくり、これを利用した雪冷房がターミナルを冷やし始めた。
他にも雪エネルギーの事例としては、メタンガスやプロパンガスを吸収させた「燃える雪」、「雪解け水」の活用に向けた研究も進められているそうです。
雪が降る地域であれな、どこでも利用できるのが雪エネルギー。南は島根県、滋賀県でも活用していて、その事例は少しずつ増えつつあります。
特集では他にも特別豪雪地帯である新潟県安塚町の「冷水循環式雪冷房」、雪室で食品貯蔵する物産館、雪の科学館の取材レポートが掲載されています。
雪エネルギーについてここまでまとまった特集記事はそうそうないと思いますので、関心がある方はぜひ路上にて「ビッグイシュー日本版 232号」を手に取ってみてください。