福島で見えてきた、地域との連携の重要性
鈴木綾/NPO法人ビーンズふくしま副理事
「生活保護世帯向けの学習支援を通じた若者と家庭へのアウトリーチ活動」 2002年から不登校児童生徒の支援活動に従事。若者の就労支援のほか、被災地の子どもづくり・コミュニティづくりに従事。生活保護世帯の子ども向けの学習支援を通じたアウトリーチ活動を実施。
鈴木:福島にある「ビーンズふくしま」の鈴木です。私たちはフリースクールやピアサポートネット、地域若者サポートステーション、といった地域のなかで居場所づくりをやっていたりします。仮設住宅のサポートもさせていただいております。色々と活動していますが、テーマとして地域交流実践によるエンパワーメントをやっていますが、この方法だと本当に困っている人はビーンズまでたどり着かないのではないかと考えました。
内閣府の調査に現れていますが、貧困、障害、虐待…本人が家庭から出られない状況があります。そもそも助けを呼べる状況になくて、地域にアプローチできる状況がないということが見えてきました。
行政と協同して2012年にアウトリーチを始めました。県との恊働で、町村での活動を行いました。
遠方の地域になると、福祉系の職員の体制が十分でなかったり、NPOという概念の理解が薄かったりします。そして、そこに住んでいる子供は、孤立して、支援が届かない状況があるんです。町村で活動をしようと思った理由はそこにあります。
行政と恊働するメリットは、まず個人情報の共有が容易になります。多様な機関、学校、保健所、病院などとの連携が進みました。県とやっている事業というと話がしやすくなります。また、支援コストの確保というメリットもあります。
支援フローは、対象家庭への意思確認です。ご家庭、ご本人の意思を尊重して、事業を生活保護のケースワーカーの方から投げかけていただきます。
続いて、ケースワーカーと我々のスタッフとともに行きます。「家庭教育のサポートをさせてください」と言います。「家庭教師みたいなもんかい?」と聞かれて「そういうものです」「お金はかかるのかい」「無料です」という流れで支援が始まります。我々は地域を巻き込んでいくことを重視しています。学校、ソーシャルワーカーの方々とチームになって、支援を行っていきます。
僕らの考えは2つあって、まず1つは家庭の中に居場所を作る。家庭の中に精神的な居場所がないんですよね。家庭で本人のやりたいことを応援すると、自然と外の世界に目が向いてきます。もう1つは福祉インフラの向上。アウトリーチをすることによって、地域の福祉インフラをつないで向上させるということをやってきました。
アウトリーチは手を差し伸べる、ということでスタッフに共有しています。時間が少々オーバーしてしまいました、以上で報告を終わります。ありがとうございました。
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