ビッグイシュー・オンライン編集部より:本誌連動企画として、「中央ろうきん若者応援ファンド2016」の特集記事をお届けします。
[この記事は「中央ろうきん若者応援ファンド」の提供でお送りしています]
代表の葭田あき子さんは「たとえば、粘土遊びには、自分たちで掘った粘土を使う。そこで資源には限りがあることを学ぶ。そんな幼児教育を心がけている」と話す。
保育の場としてスタートしたが、不登校の相談員もしていた葭田さんは地域で不登校になったり引きこもっている若者に出会い「彼らも多様な人のなかで経験を積み上げることで人への信頼を取り戻し、社会に一歩踏み出せるのでは」と考え、不登校の親の会を秩父で立ち上げた大久保はるみさんに相談。5年前に園内に居場所「かなりや」、3年前に元駄菓子屋の古民家を利用して多世代交流カフェ「ゆいっこ」をつくった。
「ゆいっこ」外観
現在は18~30歳までの6人が月2千円の運営分担金を払い、施設を利用。「中学校に行けない生徒が、森のようちえんで保育の手伝いをしてくれます」と若者担当の大久保さんは言う。
「週1度『かなりや』でエネルギーを蓄えた若者は、週3日の『ゆいっこ』にやって来ます。そこで畑仕事や藍染、近所のおばあちゃんの話し相手、地元アーティストとの創作活動などを体験し、お客さんが来ればコーヒーも淹れてくれます」
こういう若者がいるんだけど、仕事ない?から始まった就労支援。
「ゆいっこ」で開く小中学生の学習支援の場を担当する内木茂さんは元中学教師で、若者の就労支援にも取り組む。「こういう若者がいるんだけど、仕事ない?」と地域の人に声をかけ、「午後だけ」「週3日から」といった中間的就労を受け入れてくれる企業を12社見つけた。
そこから、「エゴマの加工・販売会社や建築会社にアルバイトや正社員として採用された若者」も10人ほどいる。入念なマッチングの甲斐があって離職者は今のところゼロだ。
「家族としかしゃべらなかった20代後半の男性は、『ゆいっこ』を経てエゴマ栽培のアルバイトをするようになり、親離れできた。朝9時の始業までに起きられなかった彼を会社が何ヵ月も待ってくれたおかげです」
また、「人間関係が苦手だと小学生の頃からひきこもっていた男性が温かい職場環境に恵まれたことで、仕事を続けるだけでなく、『ゆいっこ』に来て後輩に優しく話しかけ、台風の時には率先してみんなの畑を見に行ってくれるようになった」と大久保さんは話す。
森のようちえんには今、遠方から移住してきた園児も含め20人が通う。だが、元食堂だった園舎は「幼稚園設置基準」を満たさないため、補助金もない。「たとえば、里山の立地を活かして子どもが自ら遊びを作ることで身体能力が鍛えられるんです」と葭田さん。
「若者支援は中央ろうきんの助成を受けて、ボランティアの交通費やスタッフの人件費をやっと払えるようになった。秩父には養蚕や炭焼き、染物などの産業がありますが、8千軒あった養蚕農家も今や10軒足らず。もし若者がこれを継承できれば、人材も文化も残していける。若者が一歩踏み出すことは地域にとっても大きな財産になる」と、葭田さんは地域の将来を担う若者に期待している。
左から大久保さん、内木さん、葭田さん
■「中央ろうきん若者応援ファンド」は、家庭環境や経済状況、病気や障害などの社会的不利・困難を抱え、不安定な就労や無業の状態にある若者の自立支援に取り組む団体を応援する助成制度(2014年10月創設)。
http://chuo.rokin.com/about/csr/assistance/youth_support/
■ 中央ろうきん社会貢献基金について
http://chuo.rokin.com/about/csr/assistance/
■「中央ろうきん」って?
http://chuo.rokin.com/about/roukin/
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埼玉・秩父の里山で「森のようちえん」を運営する「花の森こども園」。
園児だけでなく、生きづらさを抱える若者の成長や就労を地域ぐるみで支える、新たな取り組みの現場を訪ねた。
元駄菓子屋の古民家を利用した多世代交流カフェ「ゆいっこ」
10人の母親が里山につくった「ようちえん」がはじまり
花の森こども園は2008年、子どもが通う幼稚園の教育方針が遊びから知育偏重に変わって、行き先がなく途方に暮れた10人の母親が、ママ友の父親が所有する里山の提供を受けて「森のようちえん」を創設したことから始まった。代表の葭田あき子さんは「たとえば、粘土遊びには、自分たちで掘った粘土を使う。そこで資源には限りがあることを学ぶ。そんな幼児教育を心がけている」と話す。
保育の場としてスタートしたが、不登校の相談員もしていた葭田さんは地域で不登校になったり引きこもっている若者に出会い「彼らも多様な人のなかで経験を積み上げることで人への信頼を取り戻し、社会に一歩踏み出せるのでは」と考え、不登校の親の会を秩父で立ち上げた大久保はるみさんに相談。5年前に園内に居場所「かなりや」、3年前に元駄菓子屋の古民家を利用して多世代交流カフェ「ゆいっこ」をつくった。
「ゆいっこ」外観
現在は18~30歳までの6人が月2千円の運営分担金を払い、施設を利用。「中学校に行けない生徒が、森のようちえんで保育の手伝いをしてくれます」と若者担当の大久保さんは言う。
「週1度『かなりや』でエネルギーを蓄えた若者は、週3日の『ゆいっこ』にやって来ます。そこで畑仕事や藍染、近所のおばあちゃんの話し相手、地元アーティストとの創作活動などを体験し、お客さんが来ればコーヒーも淹れてくれます」
こういう若者がいるんだけど、仕事ない?から始まった就労支援。
引きこもりの若者が地域の財産に
「ゆいっこ」で開く小中学生の学習支援の場を担当する内木茂さんは元中学教師で、若者の就労支援にも取り組む。「こういう若者がいるんだけど、仕事ない?」と地域の人に声をかけ、「午後だけ」「週3日から」といった中間的就労を受け入れてくれる企業を12社見つけた。そこから、「エゴマの加工・販売会社や建築会社にアルバイトや正社員として採用された若者」も10人ほどいる。入念なマッチングの甲斐があって離職者は今のところゼロだ。
「家族としかしゃべらなかった20代後半の男性は、『ゆいっこ』を経てエゴマ栽培のアルバイトをするようになり、親離れできた。朝9時の始業までに起きられなかった彼を会社が何ヵ月も待ってくれたおかげです」
また、「人間関係が苦手だと小学生の頃からひきこもっていた男性が温かい職場環境に恵まれたことで、仕事を続けるだけでなく、『ゆいっこ』に来て後輩に優しく話しかけ、台風の時には率先してみんなの畑を見に行ってくれるようになった」と大久保さんは話す。
森のようちえんには今、遠方から移住してきた園児も含め20人が通う。だが、元食堂だった園舎は「幼稚園設置基準」を満たさないため、補助金もない。「たとえば、里山の立地を活かして子どもが自ら遊びを作ることで身体能力が鍛えられるんです」と葭田さん。
「若者支援は中央ろうきんの助成を受けて、ボランティアの交通費やスタッフの人件費をやっと払えるようになった。秩父には養蚕や炭焼き、染物などの産業がありますが、8千軒あった養蚕農家も今や10軒足らず。もし若者がこれを継承できれば、人材も文化も残していける。若者が一歩踏み出すことは地域にとっても大きな財産になる」と、葭田さんは地域の将来を担う若者に期待している。
左から大久保さん、内木さん、葭田さん
NPO法人 花の森こども園
2008年4月、ムクゲ自然公園の一角に「森のようちえん」を開園。10年度にNPO法人の認証を受け、居場所やコミュニティーカフェの運営など、地域に貢献する幅広い活動を展開している。
http://www.hananomori.org/
埼玉県秩父郡皆野町皆野4048・1
TEL 0494・62・4545(平日10時~16時)
★賛助会員を募集しています
個人会員3000円(一口)、法人会員5000円(一口)、特別会員10000円(一口)
郵便振替口座番号
00190-8-568660
加入者名:NPO法人花の森こども園
■「中央ろうきん若者応援ファンド」は、家庭環境や経済状況、病気や障害などの社会的不利・困難を抱え、不安定な就労や無業の状態にある若者の自立支援に取り組む団体を応援する助成制度(2014年10月創設)。
http://chuo.rokin.com/about/csr/assistance/youth_support/
■ 中央ろうきん社会貢献基金について
http://chuo.rokin.com/about/csr/assistance/
■「中央ろうきん」って?
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