社会課題に取り組むNPO・企業にとって、広報は欠かせない存在。だが、その業界の広報ライティングについて体系的に教えてもらえる機会は少ない…そんなニーズを受けて、2018年12月26日、「ビッグイシュー・オンライン」によるライティング講座が開催された。
講師は同メディアの共同編集長を務めるマキノスミヨ。NPOや社会的企業が広報記事を書く際のポイントが解説された本講座の様子をレポートする。
※このイベントレポートは、この講座の受講者の有志による合作です。
豊中市立文化芸術センターにて開催。平日の日中だったが、学生をはじめ、NPO職員、文章を専門に扱う仕事に就いている方、書くことに苦手意識を感じているという方など11名の参加者が訪れた。
ソーシャル×ライティングとは何か?学校で習った文章や、一般の広報文章との違い
最初に、学校で習ってきた文章と広報の文章の違い、一般企業の広告記事とソーシャル系の広報文章の違いについて解説が進む。ソーシャル系の広報では、「共感」と「応援したい」という感情を呼び起こす必要がある。心構えとして、クライアントと読者の両方の視点を持つ重要性が語られた。参加者の声
「本当に読者へ伝えるためには、感情・ストーリーだけではなく、データ・根拠も必要だとわかりました」
習ったことをもとに、「サンプル文」の改善ポイントを話し合うワークショップ
では文章を書く際、いったいどのような点に注目すべきだろうか? ここで悪い広報文章の例文を用いて、グループごとに改善のポイントを考え合う時間が取られた。「読者として読んでみるとNPO視点に偏った文章は説得力に欠ける」といった気づきがあり、それぞれの意見が共有されていく。
グループ別にディスカッションを行う様子
参加者の声
「NPOが伝えたいことだけを書いた文章には興味を持たない人が大半ということを痛感しました。」(NPO職員)
「ライティング初心者の私としては、内心、途中で難しい課題をさせられたらどうしようと心配していたが、ワークにしても講義の内容にそったものであったので、その心配はなかった。講師の方も一から教えてくださる姿勢だったので安心して参加できた。」(会社員)
ワークの後、マキノの仮説に基づき内容を改訂したTwitterの投稿の事例紹介。同じテーマにも関わらず、修正前に比べ200倍近くリツイート数が増えたというエピソードには、参加者から感心の声が沸き起こった。
ライター業務のイロハを、企画から納品までのフェーズごとにポイント解説
講義後半では、納品に至るまでのライターの作業プロセスを8つに分解し、各フェーズで重要となるポイントについて実体験をもとに解説。Web記事を読みやすくするためのコツや、炎上リスク、実務上重要な「著作権とニュースソースの確認」などについても触れていった。
参加者の声
「ライティング業務の流れや、知っておくべき法律のことを学べました。」 「クライアントとのやり取りを通じて、信頼関係を築くことが重要なんだと理解しました。」
最後に、参加者に「宿題」の発表。 提出者特典としてマキノによる添削が受けられるとあり、習ったばかりの知識を実践する機会を喜ぶ受講者も。
講座終了後は、ワークを通して意気投合した人たちがSNSの連絡先を交換するなど、関心が近い人が集まっただけに横のつながりも生まれた機会となった。
「扱うテーマ、参加者同士のやり取りも刺激に」-講座満足度100%
受講後のアンケートでは、満足度が100%という結果に。全体を通して、参加者からはこのような声が寄せられた。参加者の声
「社会的問題に関心の薄い読者に発信する際に注意することについて、具体的な方法を知ることができたこと、ライターの仕事内容を学べたことが大きな収穫であった。また、参加者はいずれも、社会的な問題の発信に興味を持っている人ばかりで、刺激を受ける存在だった。」(会社員)
「非常に充実した内容でした。ライティングのプロセスについて俯瞰して分析ができたのはもちろん、講師の具体的な経験談が聞けたのも、足を運んだ価値があったと感じています。また、受講者の背景も様々で、人によって関心を持つポイントが異なるのも大きな刺激となりました。」(翻訳者)
「概念的なことから具体的なTipsまでカバーされていてわかりやすかった。適度にワークが使われていて場が温まり主体的に学ぶことができた」(NPO関係者)
「商業ライティング講座を過去に受講したことがあるが、心と想いを反映することができなかった。今回の受講で「書く目的」を明確にできると思う。」(団体職員)
「ソーシャル×ライティングの教室」について
骨太なテーマで国内外の記事を扱い、発足以来の6年間で公開された記事の数は1500以上、年間60万のユーザーが利用するWebメディア「ビッグイシュー・オンライン」。”しかし社会課題やそれに取り組む人々のことは世間に未だ広く浸透していない。
この講座を通じて願うことは、「社会課題をもっと多くの人に知らせることのできる人」が増えること。今後も「ソーシャル×ライティングの教室」は不定期に開催するため、興味のある方は下記にご登録をいただきたい。
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次回のマキノ登壇イベント
「ソーシャル×ライティング」の教室@東京・代々木上原(2019年4月4日)https://www.bigissue.jp/event/215/
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ビッグイシューについて
ビッグイシューは1991年ロンドンで生まれ、日本では2003年9月に創刊したストリートペーパーです。
ビッグイシューはホームレスの人々の「救済」ではなく、「仕事」を提供し自立を応援するビジネスです。1冊350円の雑誌を売ると半分以上の180円が彼らの収入となります。