中小企業庁も注目する、愛知県岡崎市の「OKa-Biz(岡崎ビジネスサポートセンター)」にお邪魔してきましたのでレポートをお届けします。
無料で高品質な経営相談を受けられる
「OKa-Biz」は岡崎市にある中小企業向けの経営相談所。岡崎市、岡崎商工会議所が運営する施設で、センター長にはNPO法人「G-net」の代表でもある秋元祥治氏が着任しています。
OKa-Bizはいわゆる「商工会議所」の機能をアップデートしたような施設で、地域の経営者に向けて、高品質な経営アドバイスを無料で提供しています。
2013年の10月に開設され、これまでに数多くの中小企業のサポートを実現しています。以下、年次報告書から「1年間の実績」をデータを紹介させていただきます。
- 相談件数:1,404件
- 1日あたりの相談件数:7.1件
- 相談に占めるリピーターの割合:73%
- 口コミからの新規割合:77%
- 創業件数:34件
- 創業の雇用創出効果:125人
- メディア掲載:101件
- セミナー開催実績:参加人数1,504人、満足度86点
などなど、開設1年にして異例の成果を残しています。特に、34件の創業をサポートし、その雇用創出効果は125人というのはすばらしいですね。過去のデータに照らし合わせると、企業誘致にも匹敵する雇用創出効果を生み出しているそうです。
中小企業庁の次長をはじめ、全国からの視察も相次いでおり、今もっとも「熱い」経営サポート拠点といえます。
彼らの取り組みを知るには、実際に生まれてきた事例を知るのが手っ取り早いでしょう。
新素材「エコなプラスチック」の販路開拓
こちらは「三光ライト工業所」という自動車部品の下請けメーカー(従業員18人)が、OKa-Bizのサポートのもと開発した鉢植え。写真だと伝わりにくいですが、木のような手触りがある不思議なプラスチック素材でできています。
リーマンショックを機に「間伐材を用いたエコなプラスチック」素材を開発したものの、販路開拓に悩んでいた三光ライト工業所。
OKa-Bizはこの新素材に目をつけ「インテリア植物の鉢植」という用途を提案し、販路開拓とプロモーションをサポート。その結果、この素材が全国のメディアに注目され、ネットショップの売上は5倍に。大手ブランドの製品にも採用され、「脱下請け」の一歩を踏み出すことに成功しました。
お米をクリエイティブにお土産化
こちら、なんだかわかりますか?お土産用の小さなパックに詰められた「お米」なんです。パッケージ表面には岡崎市のゆるキャラ「オカザえもん」が貼り付けられています。
この商品を販売しているのは、従業員4名の「六名米穀店」。家族経営の小さな地元の企業です。
「スーパーなどの量販店の価格競争に押されており、新しい販路と顧客を開拓したい」という課題を感じ、OKa-Bizに来訪。OKa-Bizのサポートのもと「お土産」という用途を消費者に提案。すると、これがヒットし、駅ナカのコンビニやホテル、飲食店へのお土産として販路開拓に成功しました。すばらしい成功事例だと思います。
「猫の肉球」で大きな話題に
もう一つご紹介したいのが、岡崎市の老舗和菓子屋「小野玉川堂」の事例。
「新しいお客、特に若い人にもっと来てもらいたい」という課題を感じ「OKa-Biz」に相談したところ…生まれたのがこの「肉球羽二重餅」!
(公式ブログより)
この可愛さが大ヒットし、インターネットを中心に大盛り上がり。各種ニュースサイトにも取り上げられ、一瞬で完売したそうです。ちなみに発売日は毎月11日の”ワンワンの日”と、22日の”にゃぁにゃぁの日”となっています。こういう遊び心も巧みですね。
(マイナビニュースより)
きく、みつける、ささえる
こうした新商品の開発・販売だけでなく、IT活用・情報発信のサポート、補助金申請などのノウハウを伝えるセミナーの開催など、地域の中小企業経営者を様々な側面から応援しています。
サポートする上でOKa-Bizが大切にしているのが「きく、みつける、ささえる」というプロセス。あらゆる事業の相談を親身に「聞く」、そしてその企業の課題・強み・やるべきことを「見つける」、解決策を実行していくことを「支える」。当たり前といえば当たり前の経営支援ですが、これを無料で受けることができるというのはすばらしいです。
「OKa-Biz」のような拠点が増えていけば、地方の経済は活力を取り戻すことができるでしょう。全国から視察が相次いでいるとのことですから、あなたの地域に同様の拠点ができる日も近いかもしれません。