新型コロナウイルスの感染拡大を受け、ロックダウン(都市封鎖)となっている英国では、ビッグイシュー誌の路上販売ができないという、いまだかつてない状況に見舞われている。それでもなんとか販売者たちの収入を確保していくため、『ビッグイシュー英国版』と『ビッグイシュー・ノース』は、1991年の創刊以来初めてとなる店頭販売に踏み切った。


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創刊以来初めて店頭販売が決まった『ビッグイシュー英国版』と『ビッグイシュー・ノース』

*ビッグイシュー英国版(ロンドン拠点) https://www.bigissue.com
*ビッグイシュー・ノース(マンチェスター拠点) https://shop.bigissuenorth.com



新たにビッグイシュー誌を購入できるようになったのは、英国大手スーパーマーケット「セインズベリー」の数百店舗/オンラインと、新聞販売店チェーン「マッコールズ」の1,400店舗。ロックダウン下で営業を許されている“生活に必要不可欠な” 店舗でビッグイシューが購入できるようになったというわけだ*。

*The Big Issue will be sold in shops as we respond to Covid-19 crisis

販売価格は1冊あたり3ポンド(約400円)、収益の半分は販売者支援基金に入る。

ビッグイシュー英国版の創設者ジョン・バード氏は読者に向けてこう訴えた。


「私たちは創刊から29年間で、10万人以上の路上生活者をサポートしてきました。販売者の収入として1年あたり約500万ポンド(約6億7千万円)のお金を生み出しています。路上での販売を中止せざるを得ない今、これまで以上に皆さまの温かいご支援が必要です。

路上での雑誌販売からの収入が私たちの事業を支えています。路上に立つ販売者なくしては、路上生活者たちを支えることはできません。セインズベリー社とマッコールズ社のご協力により、従来の読者のみならず新たな読者にもビッグイシューを手にとっていただける機会が生まれることを大変嬉しく思います。これまで通り、雑誌販売による売り上げは、販売者と事務所で折半いたします」


Alexas_FotosによるPixabayからの画像
Alexas_FotosによるPixabayからの画像

セインズベリー社とマッコールズ社も、店頭販売への協力を決めたことについて次のようにコメントした。

「ビッグイシュー事業を支援できることを誇りに思います。新型コロナウイルスが英国の全国民に影響を及ぼし、ますます厳しさを増す時代には、お互いに支え合う意思を示し合うことが重要です。弊社のお客様に雑誌を購入できる場を提供することで、ビッグイシューの販売を促進し、多くの社会的弱者を支援できればと考えます」(セインズベリー社営業部長ポール・ミルズ=ヒックス)

「この重要な時期にビッグイシュー事業を支援できることを嬉しく思います。ウイルスの影響で路上販売ができない販売者をサポートするため、私たちのお客様にも雑誌を購入していただけたらと思っています」(マッコーリズ社最高経営責任者ジョナサン・ミラー)

『ビッグイシュー英国版』では独自のアプリ経由でデジタル版の購読も可能となった。本誌・デジタル版ともに定期購読(3ヶ月〜)も可能。『ビッグイシュー・ノース』でもデジタル版の販売(1冊から購入可)、定期購読(3ヶ月/6ヶ月/12ヶ月から選択可)、バックナンバーの販売も実施している。四半期ごとに発行している特別号『The New Issue』の2020年春号も発売されたばかり*、この収益は同社の社会貢献型プロジェクトにあてられる。また両誌とも、読者からの寄付も随時受け付けている。

*The New Issue 2
https://shop.bigissuenorth.com/product/the-new-issue-issue-2


外出自粛下で新たな販売手法に挑戦する世界中のストリート誌

独ニュルンベルク拠点のストリート誌『Strassenkreuzer』も、ロックダウン下で営業を続けている地元書店の協力を得て、店頭での雑誌販売を始めた。

その他世界各地のストリート誌でも、デジタル版の販売を始めるなど新たな販売手法を取り入れ、この未曽有の危機を乗り越えようと必死だ*。

*デジタル版または定期購読を取り入れているのは27誌。(4月20日現在)

Supporting street paper vendors around the world during the COVID-19 pandemic


<オンライン編集部追記:ビッグイシュー日本の取り組み>
日本はロックダウンではないものの、緊急事態宣言下での外出自粛が続いているため、路上での雑誌販売はかなり厳しい局面を迎えている。『ビッグイシュー日本』でも、これまでにない販売方法を取り入れることで、なんとか販売者の収入を確保できないかと奮闘中だ。

「コロナ緊急3ヵ月通信販売」
6冊セットの通販(2020年6月30日までの受付)
https://www.bigissue.jp/2020/04/12874/

「定期購読」
4月1日より日本全国でお申し込み可
https://www.bigissue.jp/buy/subscription/

「委託販売」
店舗をお持ちの方向けのご案内
https://www.bigissue.jp/sell/in_your_shop/

「PDF販売」
フレディ・マーキュリー表紙の351号(SOLD OUT)をPDFで販売
https://www.bigissue.jp/2019/03/9086/
猫のボブ表紙の316号(SOLD OUT)をPDFで販売
https://www.bigissue.jp/2017/12/4083/

「オンライン記事の配信」 世界のストリートペーパーネットワーク(INSP)から配信される記事を翻訳してビッグイシュー・オンラインで無料配信。翻訳料のカンパを募っている。
http://bigissue-online.jp/archives/onlinesupporter.html

By Tony Inglis
Courtesy of INSP.ngo



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ビッグイシューについて

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ビッグイシューは1991年ロンドンで生まれ、日本では2003年9月に創刊したストリートペーパーです。

ビッグイシューはホームレスの人々の「救済」ではなく、「仕事」を提供し自立を応援するビジネスです。1冊450円の雑誌を売ると半分以上の230円が彼らの収入となります。