話題沸騰!写真家、セス・キャスティールが撮影した「水中の子犬たち」

アメリカ人写真家、セス・キャスティールの作品は、人間の最高の友の魅力的でユニークな姿を見せてくれる。キャスティールは、最新の写真集『Underwater Puppies(水中の子犬たち 未邦訳)』(ベストセラーになった『水中犬』の続編)を撮るために、1500匹以上の子犬たちに泳ぎを教え、犬たちが水面に飛び込む瞬間をとらえた。

from “THE BIG ISSUE SOUTH AFRICA”

Photos: Courtesy of Seth Casteel

Uwp cover highres

犬たちはいつも我々にインスピレーションを与えてくれます

○水中で写真を撮るのに、どうやって犬に「ポーズ」をとらせたのですか?

『水中犬』(セスの「水中シリーズ」の最初の本)は、基本的には、物を投げて「取ってこい」をする、昔からの遊びを水中でやっただけなんです。そこでわかったのは、水に入ることが、犬たちの野性の本能を引き出すチャンスになるということでした。

写真集に登場するすべての犬は、みずからすすんで撮影に加わりました。ほとんどの犬は私に会うまで水に潜ったことがなく、一度も泳いだこともない犬もいました。しかし、「何ごとも飛び込んでみれば楽しい」かもしれない、ということを、犬たちが人間に示してくれました。犬たちはいつも我々人間にインスピレーションを与えてくれます!!

『水中の子犬たち』は、公式には『水中の犬たち』の続編で、主役は生後6週間から6ヵ月の72匹の泳ぐ子犬たちです。シリーズの製作にあたっては、1500匹以上の子犬たちに、スイミングレッスンを行ったんです。子犬たちが自信を身につけ、水中で身の安全を確保できるようにね。多くの子犬は、数分間泳ぐだけで、水中では体が浮くことを学び、水中での体の動かし方や、そして一番大切な水から上がる方法を覚えました。中にはすぐに元気いっぱいになり、遊んだり、跳ねたり、おもちゃを追いかけたりし始める犬もいました!

○撮影で一番大変だったことは?

成犬の場合は、一番大変だったのは撮影する犬から信頼され、友情を築くことでした。犬たちは、初対面の私が、いったい何をしようとしているのか全然わかりません。ですからまず、1匹1匹とチームメートのようになるのが仕事でした。

『水中の子犬たち』では、とてつもない根気強さを持てるか、がすべてでした。子犬たちの安全確保はプロジェクトの根幹に関わることでしたから、私はほとんどの時間、ひたすらスイミングの先生に徹して、カメラはほんの時たま取り出しただけでした。

○犬や子犬が水に飛び込みたがらなかった時はどうしましたか?

『水中犬』の時は、もし犬がやりたがらなければ、代わりに地上で写真を撮りました。『水中の子犬たち』では、撮影した子犬は1匹残らず何はともあれ水に入りました。大切なのは、実際には写真を撮らなかったほとんどの子犬たちも、泳ぎのレッスンを受けたことです。ほんの数分間泳いだ後、元気に家に帰っていきましたよ。

「水中犬」シリーズの始まり

○成犬と比べて子犬を撮るのはやさしかったですか? それとも難しかったですか?

子犬の方がはるかに難しかったです。なにしろ、泳ぎを教えた1500匹以上のうち、本に載ったのはたった72匹ですから。

Pringles pickme highres

○なぜ、このような写真を撮ろうと決めたのですか? アイディアはどこから得ましたか?

2010年に、バスターという名のキャバリア・キングチャールズ・スパニエル(イギリス原産の耳が垂れた犬)を、カリフォルニアの家の庭で撮っていた時のことです。普通に地上で撮影する予定だったのですが、バスター自身が水中の方がよいと決めました。お気に入りのテニスボールを追いかけて、彼が何度も何度もプールに飛び込むのを見ているうち、「水中のバスターはどんなふうに見えるだろう!」と思いついたのです。
そこで私はいったん庭を出て、オートフォーカスの小さな水中カメラを買って大急ぎで戻り、水に飛び込みました。そのとき撮れた写真が『水中犬』シリーズの始まりだったのです。

○人を撮るよりもペットを撮る方が楽しいですか?

百万倍も楽しいですよ!ペットはその瞬間を生きていますし、反応がいつもありのままです。

人間がもう少し犬たちのようであれば世界はもっと良い場所になるでしょう

○ご自身の犬のことを少し話してください。

ナラという名前の、8歳の雑種のプードルを飼っています。2007年に地元の動物保護施設から引き取って里親になり、以来、最良の友人です。プードルを飼うなんてよもや想像もしませんでしたが、出会ったときに、ナラこそが私の犬で、私こそがナラの人間だと確信がありました。

○もしあなたが犬だったら、犬種は何がよいですか? それはなぜですか?

顔いっぱいに笑顔を浮かべ、ヘアスタイルは最高の、あなたが出会った中で一番奇妙な姿の雑種になりたいですね。

○最後に、犬が教えてくれたことは……

なにごとも、やってみさえすれば楽しいかもしれないということです! 人生で何が本当に大切なことかも毎日思い出させてくれました。犬たちはどのような人間でも愛し、どのようなことも許してくれます。もし、人間がもう少し犬たちのようであれば、世界はもっと良い場所になるでしょう。