2009年にミラノで開催されたホームレスワールドカップに日本代表選手として参加した佐々木さん。
現在は、様々な社会制度を活用して路上生活を脱し、仕事をつづけながらサッカーの練習に参加。
ダイバーシティカップに参加しての感想を聞きました。(聞き手:長谷川/写真:横関一浩)
元ホームレスとみられることが嫌だった
自分は、去年の5月にあった練習試合で思ったようなプレーができなくて、それが悔しくて感情が爆発。その後は、ばつが悪くて練習を休んでいました。
今思うと、自分の思うようにプレーができなくって感情を爆発させてしまったことだけが休んだ理由ではなくて、もう一つ理由があったんです。
それは、自分は、ホームレス状態を脱しているのに、元ホームレスとして見られたり、野武士ジャパンの選手として扱われるということでした。
なんで、もう路上から抜け出しているのに、そういった色眼鏡で見られなければいけないのか、今、自分は新しい生活に向けて頑張っているのにと…。
野武士ちゃんぷるとして 初試合
ただ、今回のダイバーシティカップの話を聞いた時、「野武士ジャパンの練習で重ねてきたメンバーがもつ1人1人の多様性を大切にしよう。
ホームレス状態の人とか、元選手とか、ボランティアとかそういった枠を超えていつも一緒に練習をしているメンバーで1つのチームを出そう」ということになったんです。
それなら、自分が元ホームレスとか、誰が選手とか関係なく、サッカーを楽しめるなって思いました。 チーム名は「野武士ジャパンちゃんぷる」。
自分と同じようにビッグイシューをしていたメンバーや他のホームレス支援団体に関わる人、学生、社会人、いろんな人たちで一緒にチームとして出ました。
試合結果は、2勝。
今までなかなか試合で勝つことができていなかったし、勝てて嬉しかったです。何より一緒に練習してきたメンバーでチームを組めたことは嬉しかったです。自分も、1点決められたし。
それと、今回の大会は、今までの大会で味わったことのないような温かさを感じました。
それは、相手のチームの人たちも、ホームレス状態ではないにしろ、ひきこもりやうつ病など何かこれまで苦労してきていて、でも、それぞれの人が頑張ろうとしている姿から感じたのかもしれません。
ほんと、見た目は、みんな元気で何者かなんてわからないんですけどね。
お互い1歩ずつ、頑張れたらと…
試合後の交流会では、「フェアスタートと愉快な仲間たち」という養護施設出身の23歳の子と話したのが印象に残っています。
あまり詳しいことは言えませんが自分も家族関係でいろいろあったんで・・・彼らもいろんなものを抱えながらも頑張っているのかな、なんて思って。
今回、彼らは7人と人数少なかったんですけど優勝したんです。すごいチームワークだなぁって。
だから、また2回目の大会で、覚えていてもらえるかは分からないけれど再会できたら嬉しいなと、密かに思っています。