最高気温が40度を超える日もみられるなど、夏の暑さは年々厳しさを増しています。屋外で働く人たちの身体的な負担も、これまで以上に大きくなっています。
真夏のビッグイシュー販売も、過酷な仕事の一つ。販売者には、決められたシフトや、そばで休憩を指示する現場責任者、交代する仕事仲間がいるわけではありません。いつ休むか、販売を切り上げるかは自分で判断し、休んだ分はそのまま収入の減少に直結します。

ビッグイシューでは毎年、販売者が夏の暑さを乗り切るため、暑さ対策用品の配布や熱中症についてのレクチャーを進めています。さらに、今年は、熱中症の危険を知らせる「熱中症アラートウォッチ」の配布と、夏季限定の雑誌仕入れ価格の引き下げを実施しています。
夏の販売の厳しさを緩和する施策1:
仕入れ価格の引き下げ
ビッグイシューの主な読者には40代以上の方が多く、猛暑日の日中は、屋外を歩く人そのものが少なくなります。
厳しい暑さのなかで長時間販売しても、体への負担が大きい一方、思うように雑誌が売れるとは限りません。そのため、夏季は販売者には無理をせず、早朝から午前11時頃まで、または夕方以降を中心に販売するよう勧めています。
しかし、販売時間を短くすれば、その分だけ収入も減ります。
そこで今年は、9月4日までの夏季限定で、定価500円の雑誌の仕入れ価格を一冊250円から200円へ、20%引き下げることに決めました。
これにより、一冊販売したときに販売者の手元に残る金額は、通常の250円から300円に増えます。販売時間を短くした際の収入減を、少しでも和らげるための取り組みです。
いくら「無理をしないで」と伝えても、その日の暮らしが販売収入にかかっていれば、販売を続けざるを得ないことがあります。仕入れ価格を下げることで、短時間の販売でも収入を確保しやすくし、暑い時間帯を避ける判断を後押しします。
夏の販売の厳しさを緩和する施策2:
休憩を促進する熱中症アラートウォッチの配布
今年はさらに、希望する販売者に「熱中症アラートウォッチ」を配布しました。
腕へ装着し、熱中症の危険が高まると、振動と画面表示で水分補給や休憩を促す機器です。
熱中症は、自分では「まだ大丈夫」と思っているうちに手遅れになってしまいがちです。
実際にウォッチを使用している大阪の販売者Hさんは、次のように話します。
「販売に集中していると、水分を取るのを忘れてしまうことがあるんよね。でも、このウォッチは、休んでないと、ブルブルって10分おきにアラートを出してくれるから、助かってます」

このウォッチは、睡眠中も装着しておくと、睡眠状態も記録してくれます。十分に休めていないときには注意を促すため、疲労が残っていることに気づくきっかけにもなっているといいます。
そもそも、多くの販売者が腕時計を持っていないため、時刻を確認できること自体も助けになっているのだそう。スマートフォンを持っていても、販売中に少しでも画面を見ると、通行人から「サボっている」と思われるのではないかと気になり、使いづらいかもしれませんが、腕に着けたウォッチなら、販売を続けながら時刻を確認したり、アラートによって休憩の必要性に気づいたりすることができます。
自分で「どこまでやるべきか」を判断する難しさ
販売者のサポートを担当するスタッフの吉田は、アラートウォッチを配布する意義を次のように話します。
「熱中症にならないよう、“無理をしないでくださいね”と伝えても、どのくらいが『無理』なのかを自分で判断するのは難しいものです。ウォッチによって『今は休むべき』ということが目に見える形で示されれば、販売者の気持ちも少し楽になるのではないかと思います」
体調が悪くなってから休むのではなく、危険が高まった段階で販売をいったん中断し、涼しい場所へ移動する。体を休めた後、状態を確認しながら再び短時間販売する。
長時間立ち続けることを前提とせず、短時間の販売と休憩を繰り返す方法へ切り替えられるよう、販売場所の近くにある休憩所をまとめたマップも作成し、配布します。
<マップの写真を入れる>
路上に立たなくてもできる仕事も、少しずつ増やしたい
猛暑への対応として必要なのは、路上販売中の安全対策だけではありません。
そもそも暑さが厳しい日には路上に立たない、あるいは路上に立つ時間を短くしても、収入を得られる選択肢を増やすことも重要です。
大阪事務所では、販売者が室内でできる仕事を少しずつつくっています。
その一つが、ビッグイシューの本や関連書籍などを扱う「希望をつむぐ本屋さん」での店番です。

また、月2回、定期購読や通信販売で注文された雑誌を発送する業務も、販売者が担っています。雑誌を封筒に入れ、宛名や部数を確認し、全国の読者へ発送する仕事です。

この発送業務はコロナ禍前から行われており、販売者の間でも人気の仕事になっています。空調の効いた室内で働けることに加え、自分たちが準備した雑誌が読者のもとへ届くという手応えもあります。
今回の「猛暑を乗り切る3カ月通販」でお届けする雑誌も、販売者が発送を担います。通販への参加は、仕入れ価格の引き下げや熱中症対策を支えるだけでなく、販売者が室内で取り組める仕事を増やすことにも直接つながります。
また東京では、活動に理解のある大家さんが、吉祥寺の商店街にあるポップアップ販売スペースを、ビッグイシューの販売場所としてしばしば提供してくださっています。
屋根や壁があり、炎天下を避けながら販売できる場所があること、そして他の出店者と同じような形で販売できることは、販売者にとって大きな支えです。

このような仕事や場所は、ビッグイシューだけで増やせるものではありません。
空いている店舗や販売スペースを一定期間使わせてもらう。会社や団体の封入・発送作業を販売者の仕事として依頼する。屋内のイベントや施設で、雑誌を販売できる機会をつくる。
地域の人や企業、商店街、建物のオーナーなどが、それぞれ持っている場所や仕事を少しずつ持ち寄ることで、販売者が選べる働き方を増やすことができます。
販売者が路上に立ち続けるのは、収入のためだけではない
販売者が猛暑でも路上に立つ理由の一つに、常連のお客さまとの存在があります。「次はこの日ね」「この号を仕入れておきますね」と約束している販売者もいます。また、自分がいつもの場所に立っていなければ、「体調を崩したのではないか」「何かあったのではないか」と心配をかけてしまうのではないかという思いから、暑さが厳しい日にも販売場所へ向かうことがあります。
いつもの場所で販売者とお客さまが顔を合わせ、言葉を交わす。路上販売によって生まれる関係は、販売者にとって収入源であるだけでなく、日々の暮らしを支える大切なつながりでもあります。
だからこそ、「暑い日は休んでください」と伝えるだけでは、販売者の不安を十分に取り除くことができません。
休んでも収入が大きく減らないようにすること。販売に出るときも、危険が高まれば迷わず休憩できるようにすること。そして、路上に立たない日にも取り組める仕事をつくること。
お客さまとのつながりを保ちながら、無理をしなくても暮らしを支えられる仕組みが必要です。
1500人の力で、販売者の夏を支えられる
こうした暑さ対策に必要な費用を確保するため、ビッグイシューでは「猛暑を乗り切る3カ月通販(販売者応援3カ月通販)」への参加を呼びかけています。
新たに1500人の方に参加いただくことで、熱中症アラートウォッチの配布や夏季の仕入れ価格引き下げなど、販売者が猛暑を乗り切るための費用を賄うことができます。
3カ月通販では、『ビッグイシュー日本版』を月2冊、3カ月間にわたってお届けします。
猛暑を乗り切る3カ月通販価格:3800円(税込・送料込み)
雑誌代は一冊500円、6冊で3000円。これに送料を含みます。
街頭で購入することが難しい方も、通販を通して販売者の夏を支えることができます。
ご注文いただいた雑誌の発送は、販売者が担当します。通販への参加は、販売者の健康と収入を守る暑さ対策を支えると同時に、空調の効いた室内で働ける仕事を増やすことにもつながります。
販売者が体調を守りながら、安心して仕事とお客さまとのつながりを続けられるように。
猛暑を乗り切るための仕組みも、路上販売以外の仕事や販売場所も、ビッグイシューだけで完成させることはできません。
通販に参加する。街頭で雑誌を購入する。屋内の販売場所を提供する。販売者に依頼できる仕事を考える。
それぞれの立場でできることを持ち寄り、販売者が無理をせず働ける選択肢を、皆さまとともにつくっていければと思います。
「猛暑を乗り切る3カ月通販」へのご参加を、どうぞよろしくお願いいたします。
『ビッグイシュー日本版』の購入
『ビッグイシュー日本版』は、全国の路上で販売者からお買い求めいただけます。お近くに販売者がいない場合は、委託販売・定期購読・通信販売でのご購入もご検討ください。
- 全国の路上(約100か所)
- 委託販売店 (約50か所)
- 定期購読 (1年間・最新号を順次お届け:24冊)
- 販売者応援3ヵ月通信販売 (3ヵ月分・最新号を含む6冊のお届け)
- バックナンバー通信販売 (最新号を除くお好きな号3冊以上のご注文でお届け)

