part3を読む

第3部 「市民が語ろう!住宅問題」







ビッグイシュー基金・高野さん:
では3部を始めます。みなさまに休憩中に書いていただいたポストイットを読み上げてみようと思います。



「都内で築50年の都営住宅に住んでいます。年々家賃が上がっています。居住者は年金暮らしが多いです」「コレクティブハウスを作ろうと思うが、規制もあり難しいです。」「ぼったくる大家さんが多く、問題だ」

地域や自分にできることは、という点について。「家賃を払うことができないのでモバイルハウスを作ろうとしています。自分たちで作るしかないと思っています」「明らかで住居を持っていない人を見かけるが、何ができるかわからない」

制度や政策に求めることについて。「家庭の所得に応じて家賃負担率が決まるような政策があればいいのでは」「安い物件のデータベース化」「中古物件にいらないリフォームが多すぎる、これが家賃上昇の原因になっているのでは」

「最低住居基準未満の劣悪な住宅を駆逐するために、そうした住居の入居者を公的住宅に移すことはできないか」「公営住宅の増加は必須だと思う。民間では入居審査時の差別もある」

最後はその他の声。「避難者として公営住宅を使っているが、申し訳ない一方で悔しく思う」「こんなに空家があるのになぜ?」「そもそも日本に住宅政策があったのか疑問です」


会場からの質問



高野さん:会場から何か言いたいことやご質問はあるでしょうか?

枝元さん:セーフティネットを直していくだけでは追っ付かないのでは、と思いました。画期的に変える方法はあるのでしょうか?新しいかたちのみんなで繋がれるかたちは、どんなものなのかなぁ、と思うのですが…。

平山さん:お答えにはならないと思うのですが、ひとつ気づくのは、住宅の分野でセーフティネットという言葉を使うのは、アメリカと日本くらいに見えるんです。セーフではないから、そういう話になるんだろうと思う。


会場から:
空家の活用が鍵だと思う。勇気があれば、若者のシェア居住も、高齢者のシェア居住もできる。これは当面の解決策になります。

一番大切なのは家賃補助なんですね。70年代くらいから議論があるが、国交省などが抵抗をして家賃補助が進んでいない。民主党が政権を取った際ときにマニフェストに家賃補助についての言及があったが、政権交代もあり流れてしまった。

生活保護の住宅扶助を広げることが鍵ではないか。住宅扶助だけを貰えるようにするという解決策が、研究者の間でも言われています。


会場から:基礎的な自治体がなにができるのか、というテーマに関心をもっています。ほっとプラスの藤田さんがやられているような、空家を借りて生活の自立再建をするというのはいいと思いました。

国の法律が変わるなかで、自治体レベルで「生活保護の一歩手前」で自立の再建を制度化し、相談窓口を作り、サポートしていくという考え方があると思う。ここまでの議論は自治体では難しいという流れだったが、何か道があるのか。

藤田さん:生活困窮者自立支援法に関しては、予算の3/4は国が持っている。シェアハウスなどの予算も取ることができるようになっている。法案はあるので、あとは運用。自治体は支援に慣れていないのでNPOなどと連携しながら地域の居住支援の枠組みを作って欲しい。

稲葉さん:住宅の問題を考える時に、困窮者支援は厚労省の管轄になっている。一方で、住宅セーフティネット法は国土交通省ということになっている。自治体のレベルで縦割りを超えた土俵を作らせる、ということが第一歩だと考えています。脱法ハウスの問題についても、東京都に対して縦割りを超えた協議の場をつくる提案を行っており、かたちになりつつある。


会場から:松戸に住んでいます。木造のアパートを見かけるが、防災上問題があるのではないか。建て替えは必要であるが、そういったことにはどう考えればいいのでしょうか。

平山さん:
仰るとおりです。木造アパートは70年代から問題になって、建て替えを進めている。一方で、住む場所の選択肢になっていた。日本ではホームレス問題が起きるのが、先進国より遅かった。都市のなかで2万円くらいで住める場所があった、というのは日本の大きな特徴。

ここはジレンマです。神戸は地震で木造アパートがなくなった。問題は解決したが、それによって住む場所がなくなった人がいっぱい出てきて…代替になる住宅を公的に保証してから、再開発をすべきだと思います。


住宅政策は少子化対策にもなる



会場から:諸外国の取り組みや成功事例などがあれば教えてください。

川田さん:
全体的に日本の住宅政策は弱い傾向があり、家族と企業で補完されてきました。法定外福利として、大きな役割を占めてきました。

諸外国については、たとえばオランダだと、所得再分配の機能がひじょうに大きいです。公営住宅も2割程度です。住宅の自助が厳しい地域に関しては、義務として2割供給しないといけない、そうしないと罰金がある。

所得再分配が大きければ貧困が緩和される。それに加えて、少子化対策にもなっている。フランスは高齢化を早期に迎えたが、若年世帯に対する住宅手当をしたということもあり、出生率の改善に繋がったということがある。

住宅の困窮を解消するというだけでなく、家族形成を促し、少子化の解消にもつながる、という役割を担う国もあります。


住宅政策の議論は始まったばかり



司会:委員のみなさまから最後にひと言お願いいたします。

平山さん:
日本の住宅政策はこんなもんなんだ、というのがこびりついている。公営住宅が4%なのはこんなもので、今から増やすのは…という考え方。欧州ではリーマンショック後、公営住宅を増やしている。中国、韓国も増加に向けて動いている。

日本では国の内側だけで変な常識がこびりついている。家賃補助をやろうという話は70年代からやっているが、「日本で家賃補助は無理だよね」というのが常識になっている。それはおかしいのでは。声をあげないといけないと思います。

今日お話をしていて、話を聞いていて、改めて「ひどいなぁ」という気がしてきた次第です。政府が悪いんだ!というのは簡単ですが、まったく世論になっていないわけで、そりゃ政府も何もしないよね、という話です。この問題は社会全体にとって大切だ、と声を挙げることを続ける必要があります。

稲葉さん:提案書の終わりにも書いていますが、この提案書はちょっと取っ付きにくいかもしれませんが、噛めば噛むほど味が出る内容になっていますので、ぜひご活用ください。各地で勉強会、読書会をやっていただけると嬉しいです。

藤田さん:学者がいない、ということをよく話している。住宅政策の研究者にぜひなっていただきたい。後継者になってください。

川田さん:住宅問題に興味関心を持っている人が、こんなにいることに驚きました。多くの方々が問題を抱えているのに、それを問題だと認識していない、これが問題だと思います。こんなにたくさんの人が問題を抱えている、これを認識することが大切です。

佐藤さん:
同じことを大阪でやったときにこんなに集まるのだろうか、と感じました。国レベルの話もありますが、賃貸市場はローカルな事情で変わってくるので、それを鑑みないといけない。
たとえばうちの大学の近くでは、3万円代でお風呂付きに住んでいる学生もいます。生活保護よりも安い値段で、そこそこの物件に住んでいます。地域性が大きいと感じています。


平山さん:
今日で終わるのではなく、ここから議論を続けていきたいと思います。福島から来ている方が都営住宅で期限を切られているという話もあった。そんなことがあっていいわけがないので、市民レベルで議論を続けていきましょう。

最後に、ビッグイシュー基金のみなさまにはお世話になりました。シンポジウムもたいへん丁寧に作っていただいて…コーヒーとビスケットが出てきて驚きました(笑)ありがとうございました。

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編集後記:編集部のイケダです。長いレポートでしたが、お読みいただきありがとうございました。3時間近いシンポジウムでしたが、大変充実した内容になっていると思います。住宅政策をここまで包括的に語るイベントは、行われてこなかったのではないでしょうか。

シンポジウムでもお話が出ていますが、日本ではまだまだ住宅政策に関する議論が盛り上がっていません。ビッグイシュー・オンラインでは「住まいの貧困」についての情報も精力的に扱っていきますので、関心がある方はどうぞRSS、メールマガジン、フェイスブック、ツイッターなどでご購読ください!


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