女性ホームレス、若者ホームレス。「ホームレス・ワールドカップ」に見るホームレス問題の多様性

そこから、主体的に具体的にコミットしようというところで、このパリ大会に向けた取り組みが始まります。本の中でも少し書いていますけれども、ホームレスワールドカップを目指す過程、大会の現場では、問題、困難というのはありました、正直。

私どもが参加したパリ大会2011年では、74の地域、国が参加をしていました。初戦はアルゼンチン戦です。どんなことになるかなと思いきや、初戦はたしか、2対13くらいだったですかね。まあボロ負けなわけです。そういうところから始まりました。

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このスライドでシュートを打っているのは、チームにずっと来ている選手なんですが、どんなに一生懸命練習して、チームでも練習して、シュート攻撃しても、さっぱり勝てないんですよ。勝てないんです。相手がやっぱり強いですね。容赦がありません。サッカーの国際マッチですから、ガチンコ勝負です。そういう中で、そもそも我々がやっていた練習、コーチングってどうなのかなっていうのは私自身も反省しました。

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一方で、様々なチームとの交流の中で勉強をする機会もありました。例えば、このスライドはケニアのチーム、女子チームを応援している時の写真です。女性のホームレスという存在に驚くとともに、海外と比べて日本のホームレス問題の特殊性についても深く考えるきっかけとなりました。

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2011年のパリ大会でのホームレス日韓戦を契機に、2012年にホームレス日韓戦をソウル市で実施をしています。日韓では「ホームレス問題」というのが似ている部分もあり、その課題に向けて両国が協調しながら挑戦していこうと。皆さん良い顔していると思います。両国チームは本当によい試合で感動さえ覚えました。

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これはエッフェル塔の前で撮った写真ですけが、私の人生の思い出の写真になっています。大会の結果は本にも書いてありますけれども、48チーム中48位、0勝13敗、得点19、失点125の、すごいチームなんです。

会場:(笑)

蛭間:すごいチームなんですよ。ええ。私は当時、コーチをやってましたがまぁ、各国と比べると無茶苦茶弱いんですよ。弱いのはやっぱり多分に理由があってですね。それは単にサッカーが下手だからです。

でもこのチームの目的は、きれいごとに聞こえるかもしれませんが、ただ単に試合に勝つという、そういう練習をしているわけではありません。冒頭申し上げましたように、選手は自立に向けた活動として取り組んでいるんですね。

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この国際イベントは、Nike、CNNなどなど、様々なグローバルな企業が様々な面からサポートをしてくれているんです。ここには残念ながらまだ日本の企業のロゴはありませんよね。こういう観点からすると日本社会や日本の企業は、もう少しできることがあるのではないか、と個人的に思っています。

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なぜ、日本のチームは最下位なのか。弱いからなんですが、弱いというのは、その背景にはどのような背景や原因があるんだろう。なぜ、ベトナムチームの平均年齢は17歳なのか。先程紹介しましたが、なぜ、女性のホームレスサッカーチームがあるんだろうか。こんなことを考える機会にもなりました。

社会的弱者を排除しない五輪を。そして、ホームレス・ワールドカップ日本開催を

最後に、個人的な意見です。2020年のオリンピック、パラリンピックに向けて国が今、動き出そうとしています。今の時代を生きている、一人の日本人としてこれはすごく嬉しいことです。

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一方で、見るべき現実もあると思います。今回のブラジルワールドカップも、裏通りでは大会の反対活動ですとか様々あるわけです。世界各国の失業率、非常に厳しい状況が続いている中で、ホームレスの問題しかり、日本で見る最近の若者の置かれた状態というのも問題としてその重要性が増しています。

これまでビッグイシューさんが果たしてきた実績と、今このチームが活動している内容、そしてこれから向かっていくことというのは、日本にとっても非常に重要ではないかと思っています。

過度に主張するつもりはありませんが、ホームレス・ワールドカップに参加してみて、「清く正しく美しく」とか「臭いものに蓋をする」とか、そういう文化が日本にはあると強く感じます。

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それは、あえて言えば排除や優劣の価値観です。社会における様々なコミュニティー、主体の存在を互いが認め、彼らを排除するのではなく巻き込んで、真に多様性のある社会というのを作っていきたいな、と思います。

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最後です。ぜひこのホームレス・ワールドカップを日本でも開催したいと私は思っています。以上で話を終わらせていただきます。どうもありがとうございました。

(会場拍手)