「ビッグイシュー日本版」275号から、読みどころをピックアップいたします。
裸足で走る「ベアフット・ランニング」
最新号では、「一般社団法人ベアフット・ランニング協会」代表理事である、吉野剛さんにお話を伺いました。「ベアフット・ランニング」、つまり「裸足でのランニング」の普及啓蒙活動に取り組んでいる団体です。
吉野さんは、大学時代の卒業研究のテーマで「裸足と運動シューズで動く台に乗り、筋肉が反応してバランスを修正する速度を測定する」実験を実施。その結果、裸足の方が圧倒的に早くバランスを修正することがわかりました。
また、「スポーツシューズの機能が向上しているのにもかかわらず怪我をするランナーが多いこと」に疑問を持った吉野さん。
調べてみると、シューズを履いている人の怪我の多くは「腰、股関節、ひざ、足首など地面から受ける衝撃によるもの」が多いことがわかりました。事実、ランナーの6〜7割がひざを痛めているというデータも。
吉野さんは、「スポーツシューズの機能が著しく向上して30〜40年。人の走り方は大きく変化しました。足を先に前へ大きく出して、ひざを伸ばしたまま、かかとから地面にたたきつけるように着地している。そのような走り方では骨と関節にダイレクトに衝撃が来て、その衝撃はシューズのクッションでカバーできるものではない。」と語ります。
なぜ「裸足」はいいのか?
吉野さんは「裸足ランニング」の特徴について、このように語っています。
「裸足ランニングには3つの特徴があります。1つ目はひざを曲げ、身体のバネを使うことでふくらはぎのヒラメ筋がゴムのように収縮して衝撃をやわらげてくれます。
2つ目は身体の真下で着地をすること。身体を先に前に出して、重心から移動すれば、着地の位置は自然と身体の真下になり、ブレーキがかからなくて、自然に足がついてくるような走り方になります。
3つ目はかかとではなく、かかとの2倍の幅のあるフォアフット(前足部)で着地をすること。フォアフットで着地すれば、左右には安定するが、前後に不安定なため、勝手に足が前へでるようになります。
また、足裏には地面からの圧力を感知するセンサーが集中しているので地面との間に分厚いインソールを挟むことで衝撃の強さを感じることができず衝撃による疲労が蓄積していき関節に負担をかけてしまうのです。地面からダイレクトにエネルギーをもらうことが裸足ランニングの極意なのです。」
「裸足ランニングクラブ」は全国に8都府県に広がり、タイ、中国、香港、シンガポール、マレーシアといった海外にも広がりつつあります。日本から広がる新しいスポーツ習慣、今後の展開が楽しみですね。
みなさんも路上にて275号を手に取り、「裸足ランニング」始めてみてください。
最新号では他にも、
・特集:”地”につく
・リレーインタビュー:田中雅美さん
・スペシャルインタビュー:ヘレン・ミレン
・中国”世界の工場”に密入国するベトナム人労働者
などなど、多彩なコンテンツが掲載されています。ぜひ、路上にてお買い求めください!
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