「ビッグイシュー台湾」の猫犬カレンダー「2026 calenDOG/CATlendar」参加アーティスト

「ビッグイシュー台湾」では毎年、年末に世界のアーティストが参加するポスタータイプのカレンダーを販売する。2026年のカレンダーは「2026 calenDOG/CATlendar」で、1万部近くを販売(これを受け、ビッグイシュー台湾からの提案があり、日本でも発売が決定)。この記事では、各作品・アーティストを紹介する。

1月:「招く白猫」/保坂有美 Yumi Hosaka

日本では「招き猫」という猫の置物の縁起物があります。
招いている手は左右で意味が違います。右手で招く猫は幸福や金運を招き、左手で招く猫は人(客)や健康を招きます。
そういう意味のある招き猫をモチーフにした作品です。添えられた鯛も縁起物です。
この猫はきっと私達に幸せを招いてくれる。

保坂有美(Yumi Hosaka)

高校卒業後、アニメーション美術の会社入社。
2018 年より作家活動を始める。
現在は国内外でアートフェア、個展、グループ展に参加。

ONE ART TAIPEI2023 (台湾)、Art Tainan 台南藝術博覽會 (台湾)
台湾のギャラリーのグループ展にも参加し、台湾でも活動の幅を広げている。

2月:「帶我去散步!」(散歩に連れてって!)/CONVENIENCE YOUNG

散歩に行きたくてたまらないときの、犬の表情。

CONVENIENCE YOUNG(コンビニエンス・ヤング)

日本・山形県出身。文化服装学院を卒業。2019年より制作活動を開始し、店舗ロゴやCDジャケットのデザインなどを手がけている。

3月:「給巴勒斯坦的一隻貓」(バスターニのための一匹の猫)
12月:「藍色裡的狗」(青の中の犬)/Agathe Singer

本シリーズは8点の作品で構成され、収益の全額は国境なき医師団(MSF)に寄付され、ガザにおける医療支援活動に充てられます。
破壊と悲しみに覆われた街のなかで、人々がなおも猫を大切に思い、静かに世話を続けている姿に、私は深く心を打たれました。

バスターニのための一匹の猫
作品に描かれた猫は、鮮やかな赤いケシの花畑に静かに佇み、過酷な状況のなかでも失われることのない、しなやかな希望を象徴しています。

青の中の犬
広告用顔料を用いてグレイハウンドを描いている。細長い身体と穏やかな表情が、鮮やかな青の背景の中でひときわ際立ち、斑点のある毛並みが、優雅さの中にどこかやんちゃな印象を与えている。

Agathe Singer(アガット・シンガー)

1986年生まれのフランス人イラストレーター。パリ国立高等美術学校(エコール・デ・ボザール)を卒業後、グラフィックデザイナーとして活動し、その後広告用顔料を用いた制作に魅了される。
マティス、ルソー、アンリ・マティス、カレル・アペルから影響を受け、彼女の描く世界は色彩にあふれ、花や草、生命力に満ちている。作品のテーマは女性と自然の美を中心としており、L’Oréal、WWF、Snapchat などのブランドとコラボレーションしている。

4月:「誰啊!」(誰だ!?)/沖昌之 Masayuki Oki

茂みの陰に身を潜める探偵と、本能的に誰かの視線を感じ取って振り返る犯人。
一見すると、緊張感あふれるワンシーンのようだ。
しかし実際は、茶白の猫が前足で枯れ草をいじっているだけ。
そのとき、草の先が背中に触れ、思わずこう叫ぶ――

「何だ!?」

まさにその瞬間、別の白猫が茂みの奥から、この一部始終をじっと見つめている。

沖 昌之(Masayuki Oki)

2013年、大晦日の撮影の合間に初恋の猫「ぶさにゃん先輩」と出会ったことをきっかけに、猫の撮影を始める。
2015年より独立し、猫専門の写真家として活動。
猫の人間味あふれる一面と、人と猫とのあいだにある複雑で愛おしい関係を捉えた作品で知られる。
代表作『必死すぎるネコ』は2017年に出版され、瞬く間に話題となり、シリーズ累計発行部数は8万部を超えている。

5月:「John the First」(ジョン・ザ・ファースト)/辻野清和 Kiyokazu Tsujino

2023 年から「少年時代」をテーマに個展などで絵を描いてきましたが、改めて自分が本当に描きたいものは何だろうと考えました。
結論として、私は「自分が描きたいもの」よりも「誰かが望むものを描くこと」に喜びを感じるタイプだと気づきました。
だからこそ、イラストレーターという仕事が自分には向いているのだと思います。
では何を、誰のために描くのかーーその答えは、2人の娘でした。
娘たちが喜んでくれることが一番嬉しいと思い、一緒に相談して「John」という犬のキャラクターが生まれました。
私は子供が好きですし、これからも娘や子供たちが笑顔になれるような絵を今は描いていきたいと考えています。

辻野清和(Kiyokazu Tsujino)

大阪生まれ大阪育ち。Instagram、アート展覧会Unknown Asiaなどをきっかけに2019年よりフリーのイラストレーターになる。
UNIQLO銀座店、SHISAIBASHI店やNew Balanceなどのアパレルコラボ、温泉施設のMVや百貨店の催事イラスト、企業の広告、挿絵など幅広く活動。
Unknown Asia2020 紀陽銀行賞受賞。2023年には初の原画個展を開催。
シンプルな人物画を中心に表現を続けている。
2023年の個展をきっかけに画家としても活動をささやかに始めた。

6月:「可愛Phoebe的微笑」(愛らしいフィービーの微笑み)/Elke Vogelsang

犬は、どんなにささやかな日常の出来事の中にも、喜びを見つけることができます。
笑い声や安らぎ、そして愛を運んでくれる存在――犬たちは、私にとって最も大切な家族です。
写真を通して、私は彼らの誠実で愛らしい魂を捉えたいと考えています。
そして、日々の暮らしのなかで私たちが分かち合う、かけがえのない瞬間を記録しています。

Elke Vogelsang(エルケ・フォーゲルザング)

ドイツ出身の写真家。
夫の重い病をきっかけにカメラを手に取り、写真が心を癒やす力を持つことを偶然にも発見した。
現在はペット写真を中心に活動している。
作品は『サンデー・タイムズ・マガジン』や『ナショナル ジオグラフィック』などの国際的メディアに掲載され、パリ、ロンドン、リスボン、サン・セバスチャン、シンガポールなど、世界各地でグループ展および個展を開催している。

7月:「汪洪淋(ワン・ホンリン)」
2027年2月:「太空貓」(宇宙猫)/Pablo Delcan

AI生成アートの台頭に向き合うなかで、パブロ・デルカンは創作プロジェクト「Prompt-Brush 1.0」を立ち上げた。
このプロジェクトは人間を中心に据えた発想から始まり、参加者からテキストによる指示を募り、それをもとにデルカン自身が手描きで解釈し、ユーモアと遊び心に満ちた一連の作品を生み出している。
文字情報をもとに自動的に画像を生成するAIツールとは異なり、「Prompt-Brush 1.0」は、アーティストの創造力や感受性を前面に押し出すことを重視している。
そしてそのプロセスを通じて、「人間による創作」と「コンピュータによる生成」とのあいだにある境界や、その美的可能性を探っている。

Pablo Delcan(パブロ・デルカン)

スペイン・メノルカ島出身。
書籍の装丁デザインや挿絵を手がけ、作品は『ニューヨーク・タイムズ・マガジン』などの著名なメディアに掲載されている。
また『フォーブス』誌の「30歳以下の注目すべき芸術・文化分野の人物」にも選出された。
2019年には国際平面デザイン連盟(AGI)の会員となる。
現在は家族とともにアメリカ・ニューヨーク州北部に暮らし、「THIS PLACE(この場所)」と大きく書かれた穀倉をアトリエとして制作を続けている。

8月:「星星牌──充滿希望的2026」(星のカード–希望に満ちた2026年)/Jin Young Choi

一匹の猫が、遠くからやってきたユニコーンに水を差し出している。
その着想は、タロットカードの「星」に由来し、希望と再生を象徴していると同時に、2026年の干支である「馬」のイメージも重ね合わせている。
新しい一年が、猫とユニコーンが分かち合う水のように、温もりと驚きに満ちたものとなり、それらが絶えず流れ続けますように。

Jin Young Choi(ジン・ヨン・チェ)

ソウル出身のイラストレーター、Jin Young Choi。
シンプルな線描によって、日常にひそむユーモアとやさしさのある一瞬を描き出し、細やかな観察眼を通して、ありふれた風景を静けさをたたえた作品へと昇華させている。

9月:「狗狗拍貼(的其中一張)」(ワンコのプリクラ/シリーズの一作)/YEYE

YEYE(イェイェ)

京都精華大学を卒業。2011年にアニメーションの修士号を取得し、2013年には漫画および絵本制作の修士課程を修了。
帰国後、4冊の書籍を出版し、これまでに2回の個展を開催している。
YEYEはもともと漫画家として活動しており、2022年に本格的に絵本作家としての制作活動をスタートさせた。
漫画と絵本、それぞれの表現手法を融合させながら、芸術的なアプローチによって、自身にとって特別な存在である犬「ムンゲ(Moonge)」を描いている。

10月:「接下來喵?」(次はどうする?ニャー?)/Merle Goll

どの猫も大きな目を持ち、いつもこちらをじっと見つめてきます。
まるで「次はどうする?」と問いかけているかのように。
絵本の挿絵スタイルに加えて、私は、最も愛している存在――猫――を、図像的な表現で描くことも好んでいます。
シンプルな線を用いることで、それぞれの個性がよりはっきりと浮かび上がります。
現在、制作の多くはデジタルで行っており、この作品もタブレット上で完成させました。

Merle Goll(メルレ・ゴル)

ドイツ北部で育ち、学業のためにイギリスへ渡り、その後定住。
グラフィックデザイナーおよびモーションデザイナーとして活動したのち、現在はイラストレーターとして制作を行っている。
現在は家族と、2匹の猫ミナとメイとともにスウェーデンで暮らしている。
児童書に描かれる不思議で想像力あふれる世界を愛し、猫を描くことも大好きなアーティストである。

11月:「小狗約會咖啡館」(子犬たちの待ち合わせカフェ)/Drawingdawum

あなたにとって「特別な瞬間」とは、どんなときでしょうか。
この二匹の、確かにこの世界に存在する子犬は、ありふれた一日のなかで出会います。
互いに見つめ合うその姿は、私たちが大切な人を見つめるときの眼差しにも似ています。
もしかすると、最も特別な瞬間とは、最も平凡な一瞬のなかにこそ宿るのかもしれません。

Drawingdawum(ドローイングダウム)

アーティスト・Drawingdawumは、素朴で誠実な線と、やわらかな色彩の調和によって、旅の途中で出会った見知らぬ人々の顔を描き出します。
一筆一筆は偶然のようでありながらも繊細で、今にも消えてしまいそうな一瞬を捉えています。
一見するとシンプルな筆致のなかには、その場の空気、人の表情、そして日常に差し込むかすかな光が、そっと閉じ込められています。

2027年1月:「世界上的每一隻貓,都是招財貓呀。」(世界中のすべての猫は、招き猫)/Gomatsu

今、あなたのそばにいるその猫は、
きっとあなたに幸運を運んできてくれる。

Gomatsu(ゴマツ)

異世界からやってきた、愛とロマンに満ちたイラストレーター。
眠たそうな目をした猫を描くことを得意とするアーティスト、Gomatsu。

「2026 calenDOG/CATlendar」仕様
サイズ:
25×18cm(表紙・裏表紙、およびポスターを十字折りした販売時のサイズ)
50×36cm(内側ポスターの展開サイズ)
※ポスターカレンダーは接着剤で固定していますので、使用の際は慎重に剥がしてください。
日本での販売価格:2500円
発売開始:2025年12月25日予定(限定500部)日本各地の路上で販売します。