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ビッグイシュー・オンライン編集部より:武蔵野大学講師の舞田敏彦さんによる記事、「過重な勉強も虐待か、児童虐待相談は20年で約70倍に」をご紹介します。社会に一石を投じる記事、ぜひご一読ください。


早期受験も「虐待」になりうるか?

舞田さんは「児童虐待」は本来的に、「児童乱用」というニュアンスがあるということを指摘しています。

児童虐待を英語でいうと「チャイルド・アビューズ(child abuse)」です。abuseを分解すると「ab(異常に)+use(扱う)」ですから、この言葉のもともとの意味は、子どもを異常な仕方で扱うこと、すなわち「児童乱用」のようなものということになります。

舞田さんは、100年以上前の朝日新聞の社説には、下記のような事例が「虐待」に類型されていると報告します。

  • 児童に「日々加重の宿題」を課し、その心身の発達に害が及ぶような事態。
  • 女児をして「小学に通学せしむる外、或は裁縫教師の許に送り、或は茶の湯挿花の如き、琴三絃の如き、遊芸を仕込むなど、父母の「虚栄心を満足せしむる器具」にしてしまうような事態。
  • 児童を長時間工場で働かせる。

「父母の「虚栄心を満足せしむる器具」にしてしまうような事態」というのは、現代に生きる私たちも思わずドキッとしてしまう表現です。その上で、舞田さんは「児童乱用」を、今でいう「児童虐待」に加えるのはどうかと語っています。

 先ほど述べたように現行法では児童虐待のタイプとして4つを想定しているのですが、もともとの意味に近い「児童乱用」というのも加えたらどうかと、個人的には考えています。

工場で長時間働かされるような「abuse」はほぼ皆無になりましたが、今日では別の意味の「abuse」が生じる条件が強くなってきているのですから(子どもの早期受験など)。


ツイッターより


児童虐待について、みなさんはどう考えますか?



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