こんにちは、ビッグイシュー・オンライン編集部のイケダです。最新号235号より、読みどころをピックアップいたします。
大切な人の死にどのようにして向き合うか:「グリーフサポート」の最前線
個人的にたいへん興味深かったのが、特集「いのちの時間—グリーフサポートの現場」。
「グリーフサポート」という言葉は耳慣れないかもしれません。「grief(グリーフ)」は、大切な人と死別する際に生まれる様々な感情を指す英単語です。235号の特集では、大切な人との別れに伴う感情をケアするための活動が紹介されています。
紙面でまずはじめに登場するのは「子どもグリーフサポートステーション(CGSS)」の西田正弘さん。彼らは主に親を亡くした子ども向けのグリーフサポートを行っています。
プログラムは複数用意されており、紙面では月に2回開催する日帰りの「ワンデイプログラム」が詳しく紹介されています。
ワンデイプログラムは、大切な人を亡くした子どもたちが集まって、子どもたちどうしや「ファシリテーター」と呼ばれるお兄さん・お姉さん、おじちゃん、おばちゃんたちと一緒にお話をしたり、身体を動かしたり、ゲームをしたり、絵を描いたり…自分の好きな遊びをして過ごします。
CGSSは他にも「高校生プログラム」「グリーフキャンプ」、保護者同士がグリーフを分かち合う「保護者のプログラム」も開催しています。
「現代の資本主義社会は効率やスピード、成果ばかりを優先している。だからこそ気のおけない人と話したり、絵を描いたり、詩を書いたりする、”自分の気持ちを大事にする時間”が必要で、僕らはそれを”いのちの時間”と呼んでいます。」(西田正弘さん)
紙面では他にも自死遺族向けのグリーフサポートを提供する、一般社団法人「リヴオン」の活動が紹介されています。彼らは毎月第三日曜日に、「つどいば」という若者同士の対話の場を運営しています。代表の尾角照美さんは次のように語っています。
「進学、就職、結婚、出産と、人生の節目をこれから経験していく若者の必要とする支援は、年齢層の高い遺族とはまた違ったものが必要になります」
「震災で親を亡くした子と自殺で親を亡くした子、どちらがつらいのかといった場合、本当は比べられないはずで、平等に支援されるべきです。さらに、自殺には偏見が伴うため、自死遺児の家庭は支援につながりにくいのが現状です」
その他、紙面では「看取り」を撮り続けてきたフォトジャーナリストの國森康弘さん、批評家の若松英輔さんのインタビューが掲載されています。「グリーフサポート」という珍しい切り口の特集となっておりますので、気になる方はぜひ手に取ってみてください。