(編集部より:国内外の空き家活用の動向に詳しい、舟橋拓さんの記事を掲載いたします。新年度予算のなかで、空き家活用に関連するものを抜粋してくださっています。本テーマに関心がある方はぜひご一読ください。)
2015年度予算案が閣議決定
1月14日に新年度予算案が閣議決定しました。注目すべき点は「空き家対策や中古住宅流通促進」について新規制度がかなり盛り込まれていることです。
中古住宅流通関連では、土地情報の充実等による不動産市場活性化に155億円。空き家の活用と中古住宅・リフォーム市場活性化へ15億円を予算化。
地価公示地点数の拡充などに36億3,000万円、不動産関係情報ストックシステムの整備に8,500万円を手当てしたほか、中古住宅の質にかかる情報を整理し、空き家の活用、消費者が安心して取引できる環境の整備などを図る「中古住宅取引モデル」の検討に新たに2,000万円を予算化した。
公的不動産の活用促進には4,000万円、不動産価格指数の運用改善には、1億1,500万円を手当てした。
国土交通省のウェブサイトから「平成27年度予算決定概要」を見てみました。特に空き家の活用と中古住宅・リフォーム市場活性化(15億円)の記載部分を抜粋してみます。
★空き家の活用と中古住宅・リフォーム市場活性化(15億円)
住宅の既存ストックを有効活用することにより、子育て世代の居住ミスマッチの解消、地域コミュニティの活性化、団地再生や空き家対策を総合的に実施する。
地方自治体が戸建ての空き家を子育てしやすいように改修(子どもの事故を防ぐ内装工事など)の費用助成するといった取組など「改修費用の補助」が国土交通省の空き家活用施策のメインのように思います。次に上記の項目の詳細を見てみます。
- 戸建て空き家等を子育て仕様に改修した地域優良賃貸住宅を供給する取組の支援
- 居住環境の整備改善を図るため空き家の活用・除却等を行う地方公共団体の取組支援
- 所有者に対する空き家の適正管理等に関する相談体制整備の取組支援
- 住宅団地における空き家等の流通・活用に向けたモデル的な取組支援
- 多世代交流型の地域コミュニティ創造に向けた既存住宅ストック活用の相談体制整備
- インスペクション技術の開発・高度化とその蓄積・活用に向けた取組支援
- 中古住宅取得・リフォーム一体型ローンの供給支援
- 住宅取得資金に係るリバースモーゲージ型ローンの供給支援
各局の空き家対策や中古住宅流通促進策を見てみる
国土交通省の各局の予算概要の中で「空き家対策」や「中古住宅流通促進」に取り組んでいる部署は土地・建設産業局と住宅局がメインだと思います。ということで土地・建設産業局の予算決定概要から抜粋します。
まずは、ライフテージに応じた住み替えの促進や中古住宅の資産価値増大といった中古住宅流通市場の活性化を目指すという内容です。欧米諸国と比べると日本の中古住宅流通の割合は13.5%とめちゃくちゃ低いのでもっと増やしていこうという話です。
不動産投資市場の活性化
次は不動産証券化手法を活用した老朽・低未利用不動産や公的不動産の再生や活用を促していこうというものです。
住宅局の予算決定概要からも抜粋します。
空き家再生等推進事業の拡充
空家等に関する施策を総合的かつ計画的に推進するため、空家等対策の推進に関する特別措置法の成立を踏まえ、空き家再生等推進事業の拡充等により、同法に基づく空家等対策計画の策定を促進し、当該計画に基づく市町村の空き家対策の取組を推進する。
住宅確保要配慮者あんしん居住推進事業の創設
住宅に困窮している低所得の高齢者、障害者、子育て世帯の居住の安定確保を図るため、居住支援協議会等との連携の下、入居ニーズや住宅オーナーの意向を踏まえた上で、空き家等を活用し一定の質が確保された低廉な家賃の賃貸住宅を供給する事業を創設する。
地域優良賃貸住宅整備事業の拡充
子育て世帯に対する居住面での支援を強化するため、新婚世帯等を入居対象者の範囲に加えるとともに、戸建て空き家等を子育て仕様に改修して供給する取組みに対して支援する。
なお、地域優良賃貸住宅については、入居対象者に係る収入要件を見直す。
スマートウェルネス住宅等推進事業の拡充
サービス付き高齢者向け住宅整備事業について、空き家等を活用した供給を促進するため、用途変更に伴い必要となる改修工事を補助対象に追加する。
インスペクションの活用による住宅市場活性化事業の創設
インスペクションによる住宅情報の蓄積・活用と、インスペクション技術の開発・高度化により、既存住宅の適切なメンテナンス・流通等を促進し、中古住宅・リフォーム市場の活性化を図る。
住宅金融支援機構による中古住宅取得・リフォームの支援等
住宅金融支援機構のフラット35により、リフォームを含めた中古住宅の取得費用に対する融資の供給を支援するとともに、住宅融資保険事業により、民間金融機関による住宅取得資金に係るリバースモーゲージ型住宅ローンの供給を支援する。
今年は”空き家対策元年”ということで国や自治体の空き家対策が本格化する一年が幕を開けました。
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