「ビッグイシュー」の路上販売は、「ホームレス状態、連絡先・保証人・履歴書なしでも、誰でもすぐに始められる仕事」として、イギリスではじまりました。雑誌を仕入れて路上で対面販売する形をとることで、仕事を求めるホームレス状態の方に最速その日のうちにご案内することができます。これまでに登録者数は2031人、15億5,272万円の収入を提供してきました。(23年3月末時点)

しかし近年の夏は、猛暑日としてカウントされる日が年々右肩上がりに増えています。お客様からも「路上のビッグイシューの販売者が暑さで倒れないか心配」とご心配をいただくことが多くなりました。

この記事では、よく頂くご質問にお答えする形で、ビッグイシュー日本の猛暑対策としての取り組みについてご案内します。


Q:真夏、炎天下で販売を続けているのを見ると、熱中症にならないか心配です。
ビッグイシューとしてどのような熱中症対策をされているのでしょうか?

お心を寄せていただきありがとうございます。
東京・大阪事務所では、例年梅雨明け頃から9月ごろまで、NPO法人ビッグイシュー基金が事務所に塩飴やペットボトル入りの冷水、経口補水パウダーなどを常備し、ビッグイシュー販売者にも配布しています。

また、熱中症対策をテーマに、具体的な症状や販売場所でできる予防法について医療関係者の方から学んだり、販売時間や場所をずらすなどの工夫を皆で共有したりして、熱中症にならずに夏を越えられるようにしてきました。

2022年からは軒下販売場所の募集を開始しています。

雨天時や猛暑日でも雑誌販売ができる「軒下」(人通りが多く、駅からのアクセスも良い場所)を募集しています。お心当たりのある方はぜひご協力いただければ幸いです。
軒下販売場所募集の詳細はこちら  


その他、近年特に力を入れている5つをご紹介します。

①熱中症と対処方法の理解を深める

販売者が熱中症の危険を理解して予防へとつなげられるように、熱中症の症状と対処の仕方についてのチラシを全員へ配布して注意喚起しています。

②声掛け、見回りの強化

販売者の顔色や体調について常にスタッフが気にかけており、気になる場合には医療につないだり、事務所で水分や休憩を取ってもらうなどしています。 また、順次に販売場所を回り、販売状況の把握や、可能であれば、その場で日陰になる販売場所への移動について話し合うなどしています。また、販売時間についても日当たりの強い場所では酷暑の時間帯をさけるなど、声掛けをしています。

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③熱中症対策グッズの充実

ビッグイシュー日本と事務所を同じくするNPO法人ビッグイシュー基金では、冷凍・冷蔵の水と塩分補給ができる塩飴、食料などを事務所(東京・大阪)に常備して、配布しています。基金が購入したものに加えて、一般の方から事務所あてにお寄せいただいた物品寄付も随時、お配りしています。 また、ビッグイシュー販売者には緊急用連絡先が記入できるカードやテレホンカードの配布も行っています。

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④夏の販売応援内容を強化(販売者応援3ヶ月通信販売を利用)

販売者応援のための定期購読である「販売者応援3ヶ月通信販売」の利益の一部を使い、高い保冷効果のあるバッグや水筒などの夏の販売応援グッズを配布しています。また、希望する販売者にファン付きの空調服の貸し出しをしています。

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加えて、6月末には販売継続支給金(2万円)を緊急対策としてお渡し、7月末にも酷暑対策として同額をお渡しする予定です。販売者が路上での販売を頑張る一方で、疲れたときには休む余裕が持てるようサポートしたいと考えています。

「販売者応援3ヵ月通信販売」のお申し込みはこちら
https://www.bigissue.jp/2022/09/24354/

※「定期購読」は「小商い」として発送作業を希望する大阪の販売者が行っています。 規模が大きくなれば室内の作業に従事する販売者を増やせます。路上で販売者からの購入が難しい方はぜひご検討ください。
https://www.bigissue.jp/buy/subscription/

⑤ビッグイシュー基金とのさらなる連携

ともに活動をするNPO法人ビッグイシュ―基金では、市民の方からご寄付いただいた食料や衣料などを配布するほか、東京・大阪で無料シェルターやステップハウスを運営しています。家のない方が一時的に体を休めることができるよう環境を整えており、ビッグイシュー販売者を中心に、利用されています。
https://bigissue.or.jp/2023/06/23061401/


Q:販売者は販売場所から動いてはいけないのでしょうか?

販売する場所はあらかじめ販売サポートスタッフが下見の上、所轄の警察署や警視庁と協議の上で行った場所のなかから、販売サポートスタッフと相談のうえ、販売者自身が選んで立っています。
Webサイトの「販売場所一覧」や本誌巻末に記載の場所の範囲であれば、日陰などを選んで動くことはあります。

なお、販売する曜日や時間帯は、販売者自身が決めています。また、休憩や仕入れなどで販売場所を離れることもあります。それぞれに体調などを考えながら立つ時間を調整しています。

Q:スポーツドリンクなどの差し入れは問題ないのでしょうか?

販売者へのお心づかいありがとうございます。
水や麦茶など、ありがたくいただきたいと思います。
ただ糖尿病などの治療中の場合もありますので、もしよろしければどのような差し入れがうれしいか本人に聞いてみていただければと思います。
なお販売中の飲酒は禁止ですので、アルコールはどのような場合でもご遠慮しております。

Q:夏場の販売で役立つような衣類や物品の寄付はできますか?

ありがとうございます。男性用のポロシャツなど、風通しの良い衣類のご寄付をNPO法人ビッグイシュー基金にて受け付けております。
事務所が手狭なため、予めお電話等でお問い合わせください。


また、Amazon「みんなで応援」プログラムに参加し、「ほしい物リスト」を活用した食料品や男性用下着などの寄付の募集もしています。
ご寄付の方法は、こちらをご覧ください。
https://bigissue.or.jp/2023/06/23061401/

大阪事務所のほしい物リスト
東京事務所のほしい物リスト

Q:販売場所でパラソルや椅子を設置して販売しないのでしょうか?

ビッグイシューの販売は、道路交通法に違反しないよう『移動販売』の形式をとっていますが、設置型のパラソルや椅子は路上の「占有」になり、許可書が必要になってきます。そのため、なるべく日陰に移動したり、帽子や日傘、空調服などを利用することで、熱中症対策を心がけてもらっています。

2022年からは雨天時や猛暑日でも雑誌販売ができる「軒下」(人通りが多く、駅からのアクセスも良い場所)を募集しています。お心当たりのある方はぜひご協力いただければ幸いです。
軒下販売場所募集の詳細はこちら  

また、吉祥寺の商店街サンロードではポップアップストアを不定期で開催しています。
https://bigissue-online.jp/archives/1081676440.html
夏の暑さや風雨に負けない屋根があることが魅力です。開催の際はホームページやSNSでお知らせいたします。





炎天下で頑張るビッグイシュー販売者がみんな、無事に夏を超えられるよう、引き続きスタッフ一同知恵を絞ってまいります。応援いただけますと幸いです。


『販売者応援3ヵ月通信販売』参加のお願い
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3か月ごとの『ビッグイシュ―日本版』の通信販売です。収益は販売者が仕事として"雑誌の販売”を継続できる応援、販売者が尊厳をもって生きられるような事業の展開や応援に充てさせていただきます。販売者からの購入が難しい方は、ぜひご検討ください。
https://www.bigissue.jp/2022/09/24354/



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ビッグイシューについて

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ビッグイシューは1991年ロンドンで生まれ、日本では2003年9月に創刊したストリートペーパーです。

ビッグイシューはホームレスの人々の「救済」ではなく、「仕事」を提供し自立を応援するビジネスです。1冊450円の雑誌を売ると半分以上の230円が彼らの収入となります。