認定NPO法人ビッグイシュー基金大阪事務所では毎年、雑誌「ビッグイシュー日本版」の販売者を中心に「大阪ホームレスクリスマスパーティ実行委員会」を立ち上げ、クリスマスバーティを企画・運営しています。過去2年は新型コロナウイルスの流行によりオンラインで開催していましたが、第14回目となる今年、3年ぶりに対面で開催。



会場は、東横堀川沿いの公園につながる開放的な公共空間で、レンタルスペースやレストランなどを備えたβ(ベータ)本町橋(大阪市中央区)です。


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「トークと『うた』でつながる、路上の聖夜」をテーマに、販売者や路上生活当事者の皆さん、市民の皆さんが一堂に会し、冬の夜を楽しみました。

お金がないと入れない場所ばかりの世の中。
誰もが出入りできる、居場所のある社会をつくりたい

はじめに、認定NPO法人ビッグイシュー基金・共同代表の稲葉剛による開会の挨拶で幕を開けました。

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稲葉「今日は、音楽と販売者のみなさんの日頃の活動の成果を見るのを楽しみにして参りました。この場所に来るのは初めてですが、内と外の仕切りがなく、出入り自由なのがいいなと思いました。私は普段東京で活動していますが、数年前から公園の周りに柵を作って、夜間は鍵をかけて出入りできないようになっている場所が多いんです。そうすると、緊急事態が起きても、住民が公共の場所を使えないーそんな場所が増えています。“居場所が欲しい”と思っても、お金がないと入れない場所が多くなっています。今日のこの場所のような、“寒くなったら中に入ればいい、遊びたくなったら外に出ればいい”、そうした仕切りのない、出入り自由な社会にしていきたいと思っています。そのための一歩を、ここからつくっていきたいです。今日は楽しんでいきましょう。」

平和を願う乾杯。販売者と会場が用意したごちそうで温まる

雑誌「ビッグイシュー日本版」編集長でビッグイシュー基金・理事の水越洋子は、「今日お集まりのみなさんの健康と幸せを祈っています。今、世界中で諍いが起きていますが、1日も早く平和な社会になりますようにと願いを込めて乾杯したいと思います。」と挨拶。会場に用意された食事や飲みものを楽しむ時間が始まりました。

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今回のパーティで提供された料理は、元板前の経歴をもつビッグイシュー誌販売者・山田さんを中心にボランティア・インターンで組織された「調理班」によるもの。ご寄付でいただいた白菜やキャベツが、寒い夜にぴったりな豚汁や中華あんかけ、ミネストローネやそばめしおにぎりが用意されました。

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クリスマスの恒例となったお寿司やおにぎり、会場のβ本町橋さんのオードブルなど、クリスマスならではのうれしいごちそうの用意もありました。食事を楽しみにしていた方々も多かったようで、配布エリアにはさっそく行列が。

炊き出しなどを利用しているホームレス当事者の方々も参加されており、温かな食事を楽しんでいました。お話を伺ってみると「嬉しいのは、食事。変わった料理があるなと思って、全部食べました。」と、食事を喜ぶ声や、「(対面でのクリスマスバーティを)久しぶりにやるって聞いたから、どんなものか楽しみにしていました。」と、毎年のように参加していたという方の再会を喜ぶ声が聞かれました。

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「踊ってあったかくなって」ONIさんによる野外弾き語りライブと、蓄音機の演奏も

屋外ステージのプログラムでは、ロックデュオ・あふりらんぽのボーカル&ギター、ONIさんによる弾き語りライブも行われました。

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「20年くらい前に、ビッグイシューの販売者の皆さんとバンドを組んで歌ったことがあるんです。」と話すONIさん。久しぶりだというビッグイシューのイベントで演奏していただいたのは5曲。

ゆったりとしたメロディを鳴らし優しい雰囲気で会場を包んだと思えば、終盤に近づくにつれ、ギターをかき鳴らすアップテンポな曲も。

「こんなに寒い夜は、踊っちゃいましょう!踊ったらあったかくなるで!」と会場に語りかけます。さらに、「豚汁食べた人、SAY YEAH!」→「YEAH!」「ビッグイシューは愛のかたまり!」とユニークなコールアンドレスポンスが始まると、立ち上がる人も。徐々に声を出して体を揺らす人も増え、会場が一体となっていきました。

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会場の建物内では、「バー 蓄音機」のマスターで、普段はボランティア歯科医として月に1度、ビッグイシューの健康相談会に参加してくださっている松井久さんと、客席から飛び入り参加の「蓄音機隊」による手回し蓄音機の演奏会も行われました。会場内の、温かな光に包まれた空間で味わいのある音楽を楽しみました。

茶道、ダンボールハウス作り、歩こう会など。販売者による企画も満載

ビッグイシューのクリスマスパーティでは、販売者やスタッフによるワークショップ企画も恒例です。

屋外会場では、販売者・Mさんによる「ダンボールハウス作り」体験会が行われました。親子やご家族での参加者が集まり賑わいました。

梅田の販売者・濱田さんが長年続けている、歩こう会では「夜の本町橋・歩こう会」と題し、約15分間のナイトウォーク。濱田さんのガイドに沿って、会場周辺のビルや、河を眺めて回りました。 歩こう会を終えた濱田さんに感想を伺ってみると、「去年までのオンラインと対面は全然違いますね。生の声が聴けて、反応が違うなと思います。今日は数年ぶりに会う、懐かしい人も来てくれました。会えてよかった。」と笑顔で振り返りました。

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「何か役に立てることがあればやりたいと思い、参加しました」

今回のパーティも多くの市民の方が参加してくださっていました。 小学生の娘さんと来場してくださった女性の方は「もともと、駅前の販売者さんからいつも雑誌を買っていたんです。その方に今日のパーティを教えてもらって、来てみました。何か、お役に立てることがあればやりたいと思っています。」と、ビッグイシュー販売者とのつながりや想いを語ってくださいました。

4人家族で参加してくださった方にお話を伺うと、「ビッグイシューのサポーターをしていて、中之島中央公会堂で開催されていた時も毎年行っていました。今回、3年ぶりの開催ということで参加できてよかったです。」と、笑顔で語ります。小学生の娘さんは、屋外ステージで行われた「路上のど自慢」の企画にて、自前のギターを持ち込み演奏と歌を披露してくださいました。

販売者とのつながりを大事にしてくださる方や、ビッグイシューの活動を応援してくださる方々も、このイベントを楽しみにしてくれていたようでした。

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街に住む人がつながって、自分らしくいられる場所が必要

今回、会場をお貸ししてくださったのは、β本町橋を運営する「一般社団法人 水辺ラボ」のコミュニケーション・マネージャーである廣井真由美さんです。
一般社団法人 水辺ラボは2006年から始めた東横堀川界隈のまちづくり活動で出会った有志メンバーで、2021年に設立し、β本町橋の企画運営を始めました。β本町橋は、“誰もが自分らしくいられる場所”を目指し、スタートしたそう。

“ホームレスクリスマスパーティ“のために会場をお貸しくださった想いや背景を伺いました。

廣井さん「いまは、子どものころ遊んだ空き地のような、河をみてぼーっとできるような場所って、意外とないんですよね。そうした“余白”のような場所って、誰にとっても必要で、大事にしたいなという想いがあります。まちづくり活動を通じて、街のなかが分断されているなと感じています。たとえば、子どもは子どもだけ。学生は学生だけというように。街に住むいろんな人同士がつながって、コラボしていけるといいですよね。ビッグイシュー基金とは今年の春からつながり始めたのですが、クリスマスパーティのお話をいただいて運営メンバーにも話をしたら、みんなが『面白いな』『協力しよう』と前向きだったんです。そこから、どんどん話が進みました。ビッグイシューのスタッフのみなさんも、今日は早い時間から準備に来てくださっているのですが、このクリスマスパーティを楽しみにしてくださっているんだな感じました。β本町橋では1回目の開催ですが、お互いにアイディアを出しあって、これからもいいイベントにできたらと思います。」

取材・記事:屋富祖ひかる


「大阪ホームレスクリスマスパーティ」の参加費は全額、当日参加するホームレスの人の食事代にあてられています。こうして作られる「誰にでも開かれた場」は、当日ご参加いただいた皆さま、外部の方々の様々な協力、そしてボランティアや寄付による活動への参加によって成り立っています。 ビッグイシュー基金のイベントや日常の活動に、引き続きのご参加をお願いします。

活動への応援・参加はこちらより:https://bigissue.or.jp/how_to_join/
会員制度:https://bigissue.or.jp/how_to_join/membership/
※「ひとり立ち応援会員」の方は、クリスマスパーティにペアでご招待の特典があります。


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