ある調査によると日本で「この 1 年間で薬物を使った知人がいる割合」は、2013年以降有機溶剤が4.8%、大麻が2.8%と高止まりしている。(*)
この調査で回答した人の「知人」がどこで有機溶剤や大麻を入手しているのかはわからないが、少なくともノルウェーでは「ダークウェブ」を使ってドラッグを手に入れる若者が増えているようだ。
ノルウェーのストリートペーパー『ソリエンフリ(Sorgenfri)』が、ノルウェー第3の都市トロンハイムに暮らすダークウェブユーザーである若者たちに取材した。
なぜドラッグを手に入れようとするのか。どうすれば防げるのかを考える前に、まずは海外で起こっている「屈託なくドラッグを手にする・できている」状況を知り、自分の家族や身近な人間のドラッグ利用をさせないために、何ができるかを考えてみたい。
*出典:国立研究開発法人 国立精神・神経医療研究センター 精神保健研究所が2017年に実施した「薬物乱用・依存状況等のモニタリング調査と薬物依存症者・家族に対する回復支援に関する研究」
https://www.ncnp.go.jp/nimh/yakubutsu/report/pdf/J_NGPS_2017.pdf
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学生寮のソファに腰掛けたペール、カイア、フレドリックの3人は皆、ドラッグ愛用者だ。3人とも、警察や保健機関が想定する「ドラッグユーザー」には見えない。学生、社会人としてごく普通の生活を送り、彼ら自身も薬物常用による問題を感じていない。
違法だからといってやめたくないんです。
僕たち以外にも常習者を4、5人は知ってます。この街では、お酒よりドラッグが好きって人が多いです。 数百人規模のアンダーグラウンドなパーティに行くと、みんなドラッグをやってハイ状態です。
最近、学生の間で人気な薬物もあるそうだ。
常用者はまだ少ないですが、試した人はたくさんいます。
カイアは3種類ほどのドラッグを愛用していると言う。
ダークウェブでの購入に適しているのは無臭ドラッグ
3人ともこの街の出身ではないが、引っ越してきてから薬物を手に入れるのはわけないことだった。
この町に幼なじみがいるって聞いて、彼がマリファナをやっていて売人とつないでくれました。 その時はそれだけでしたが、以来、他のドラッグにも手を出すようになりました。
そう言うペールは、マリファナは地元の売人から入手するが、他の薬物はインターネット経由で買っているそうだ。
臭いのあるドラッグはネット経由では買いません。臭いですぐ郵便検閲に引っかかってしまいます。無臭のドラッグは、引っかかるリスクがほとんどありません。
-自分でもドラッグを売るの?
目的はお金儲けじゃないですよ。転売するのは経費をまかなうため。友達も同じことをしています。
ペールがドラッグを常用し始めて数年、時期によって量はまちまちだと言う。 彼のお気に入りは、通称「パーティドラッグ」といわれるものだ。
彼らはあるブラウザを使って「ダークウェブ」にアクセスしている。このブラウザーを使うと、ウェブサイトに直接アクセスするのではなく、ランダムに選択したノードを経由する。そのため通常よりアクセス時間がかかるが、警察やウェブ監視者に追跡されにくい。
警察が削除するので、ウェブサイトは常に現われては消えを繰り返してます。でもそのおかげで、個人の取引履歴が一か所に集まらないんです。
本物かどうかは検査キットでテスト
カイアがダークウェブ上で購入したドラッグの袋を見せてくれた。
-それが本物かってどうすれば分かるの?
検査キットがあるんです。
そう言って、液体が入った小さなガラスビンを取り出した。ネット上にある「ドラッグリスト」には、それぞれカラーコードが記載されている。
ドラッグをほんの少しお皿に乗せ、1つ目の検査薬を数滴垂らし、色の変化を見るんです。 同じように2つ目の検査薬を垂らします。リストと同じ反応が出たら本物というわけです。
得体の知れないものでリスクを取りたくありません。色が一致しなければ廃棄しますよ。
-罪を犯していることが面白いのですか?
いや、あまりよろしくないよね。最初こそ違法ドラッグを買うことに興奮したけど、今は、合法だったらいいのに、そしたら世間の目を気にせず愛用できるのにって思います。
By Trond Ola Tilseth
Translated from Norwegian by Veronica Koehn
Courtesy of Sorgenfri / INSP.ngo
※ビッグイシュー日本版311号では「ダークウェブ」を特集し、身を守る方法について考えています。
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