模擬原爆も展示。福島市で終戦日に、「平和のための戦争展」開催
福島県の戦争の歴史とともに平和の尊さを理解する「平和のための戦争展」が8月13日から16日、福島市のコラッセふくしまで開かれた。同展実行委員会(実行委員長・長尾光之福島大学名誉教授)の主催。
終戦の日に合わせて毎年開催されており、今年は太平洋戦争、日清戦争、日露戦争など戦争に関する資料や遺品、歴史を紹介するパネルが展示された。東日本大震災と原発事故以降、県内では平和な社会について考える勉強会や学会、市民集会が多数開かれており、県民の関心も高まっている。
メインの展示は、米軍による広島、長崎の原爆の前に、全国各地に投下された「模擬原爆」だ。福島県内でも福島市渡利、いわき市平、郡山市に投下されており、犠牲者が出ている。福島市渡利に投下された、長さ3・5メートル、直径1・5メートル、重さ4・5トンの模擬爆弾の大きな模型が展示されたほか、この模擬爆弾投下で亡くなった少年の遺族により福島市渡利の瑞龍寺に寄贈され、保管されてきた模擬爆弾の破片も並んだ。
この展示会では、福島市内の遺族から提供された遺品や資料などを手に取ってみることができた。模擬爆弾の破片は非常に重く、大人でも持ち上げるのがやっとだった。見学者は実行委員の高橋努さん(42歳)ら主催者の説明を聞きながら、理解を深めた。
会場を訪れた福島成蹊高校1年の河野万緒さん(16歳)と、菊地真柚さん(16歳)は「社会の先生から展示会を教えてもらいました。夏休みの宿題にしようと思っています。当時の生活の様子、戦争のことはまったく想像できなかったので、驚きの連続です。渡利に模擬原爆が投下されたことも初めて知りました」と話していた。
主催者によると、たまたま通りかかった人や、これまであまり関心のなかった人も立ち寄ることが多く、来場者からは、「地元にこのような戦争の歴史があったことを知らなかったので、よい機会になった」などの声が寄せられたという。
(文と写真 藍原寛子)
(2014年9月15日発売、THE BIG ISSUE JAPAN 248号より)
—-