有限会社ビッグイシュー日本では、企業や各団体が主催するイベントで雑誌『ビッグイシュー日本版』の出張販売をさせていただくことがあります。
今回は、JR住吉駅の販売者・Iさんと六甲道駅の販売者・木下さん、ビッグイシュー日本スタッフが、生活協同組合コープこうべ主催「『つながり』から考える持続可能な社会づくり 地域つながるフォーラム」へお伺いしました。
持続可能性を考えるイベントと親和性の高いビッグイシュー
開場の30分前に到着したスタッフと販売者は、さっそく雑誌「ビッグイシュー日本版」販売ブースをセッティング。今回の出張販売では、最新号+約3年分のバックナンバーと、関連書籍やグッズを用意しました。今回は特別に、“まずはビッグイシューを知ってもらえたら”と、1冊を無料プレゼントし、2冊目から購入いただくこととしました。
ビッグイシューの特集は、「持続可能な社会づくり」のテーマに合致するものが多く、興味を持っていただけるのでは?と期待して開場に臨みます。
参考:バックナンバー一覧
すると、開場してすぐに何人かのお客さまが立ち寄ってくださいました。並べられた雑誌を眺めながら、「見かけるといつも買ってます。今日ここでも買えるのは嬉しいですね。」という声や、「いつも内容が興味深いんですよね。」「一番新しいのはどれ?」と関心を持ってくださる方、住吉駅で販売するIさんへ「住吉駅に立ってらっしゃいますよね?」とイベントを通じて初めて声をかけてくださったお客さまとの会話も生まれていました。
販売者の木下さんは「1冊プレゼントなので、お好きなものがあったらどうぞ。」と、お客さまの動きを見て声をかけ、Iさんは「奥の雑誌もお取りしますので言うてくださいね。」と穏やかに言葉をかけるなど、お客さまとのやりとりを楽しんでいました。
この日、展示やマルシェに参加したのは、ビッグイシュー日本を含めて7団体。開演前には、それぞれ団体紹介の時間を設けていただき、ビッグイシュー日本大阪事務所長の吉田からは「私たちは、貧困問題を抱える方や生活困窮者の方に、雑誌を販売するという仕事を提供しています。今日は、雑誌をまだ読んだことがないという方にも、ぜひ1冊手に取ってもらえたらと思います。」と紹介させていただきました。
本誌にも登場いただいたことのあるサヘル・ローズさんの半生。
「出会う人から学び続けることが大事」
このイベントでは、俳優のサヘル・ローズさんによる「出会いこそ 生きる力」をテーマにした特別講演やパネルディスカッションも行われました。
写真提供 コープこうべ
イラン・イラク戦争で戦争孤児となったサヘルさんは、講演で幼少期を孤児院で過ごした過去や、里親と日本に渡ってからの生活を振り返りました。
母子二人の生活は貧しく、言語の壁もあり暮らしは楽ではなかったですが、日本で出会った“お節介な人たち”のおかげでランドセルを背負って通学できるようになったり、家に招いてもらったり、ご飯を食べさせてもらうこともあったそう。「日本に帰ると“ただいま”と思えるんです。」と話すサヘルさん。日本で出会った人とのつながりが、現在までの支えになっていると語りました。
サヘル・ローズさんの優しくも力強い言葉に、うなずきながら聞き入っている人もいました。
続いて「こくさいひろば芦屋」の三宅真理子さん、NPO法人「いねいぶる」の宮崎宏興さんからはそれぞれの団体の活動紹介。サヘル・ローズさんを交えたパネルディスカッションも行われました。「支援できること・できないこと」「“つながった ”と実感するとき」といったテーマで、登壇者の考えや日々の活動を通じて感じていることについて意見交換が行われ、「人とつながり続け、出会う人たちから学び続けることが大事なのだと思います。」と、今回のイベントを締めくくりました。
写真提供 コープこうべ
「しんどい状況にいる人たちの助けになれるよう、生協はアンテナを張る存在でありたい。」
今回、このイベントを企画しビッグイシューに出張販売を打診してくださったのは、生活協同組合コープこうべSDGs推進部統括部長の鬼澤康弘さんと、第1地区本部の前田裕保さんです。イベント企画の趣旨や、ビッグイシューの出張販売を依頼した経緯などをお聞きしました。鬼澤さん「お話を聴いて、何かを感じて今の自分や、次の自分のアクションにつながるような場にできたらいいなと思い、このイベントを企画しました。参加者の方にとって、今日のイベントは学習の場というより、自分が普段から思っていることを確認し、何か気づくことがある場であってほしいと思います。ビッグイシュー販売者の方が実際に来てくださったのもありがたいなと思いましたね。参加者と販売者の方々とのコミュニケーションが生まれ、まさに“つながる場”になっていたら嬉しく思います。」
前田さん「SDGsと聞くと、食の安全や環境問題などに取り組むイメージが強くなりがちかもしれませんが、生きづらさを抱えた人たちのサポートという視点も、私たち生協に必要な視点だと考えています。生活困窮状態にあり、その日暮らしで決まった住まいを持たない人や、シングルマザーの方、子どもたちへの支援など、未来を見据えたサポートも広げていかなくてはいけないですよね。そうしたしんどい状況にいる人たちを助けられるよう、生協はアンテナを張る存在でなくてはいけないと思っているんです。そうした意味で、ビッグイシューの活動もぜひ多くの参加者の方々に知ってもらいたいと思い、今回の出張販売を依頼させていただきました。今日の様子を見ていて、たくさんの人が集まっていてよかったです。これからも応援しています。」
イベントにビッグイシューの出張販売ブースを設けませんか?
ビッグイシュー日本では、企業や団体が主催されるイベントでのブース販売も承ります。(原則、販売エリア内となりますが、お気軽にお問い合わせください。)イベントのテーマに合わせた号のご用意や、出張販売させていただくイベントのSNS告知も可能です。
参考:
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記事作成・協力 屋富祖ひかる
『販売者応援3ヵ月通信販売』参加のお願い
3か月ごとの『ビッグイシュ―日本版』の通信販売です。収益は販売者が仕事として"雑誌の販売”を継続できる応援、販売者が尊厳をもって生きられるような事業の展開や応援に充てさせていただきます。販売者からの購入が難しい方は、ぜひご検討ください。
https://www.bigissue.jp/2022/09/24354/
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ビッグイシューについて
ビッグイシューは1991年ロンドンで生まれ、日本では2003年9月に創刊したストリートペーパーです。
ビッグイシューはホームレスの人々の「救済」ではなく、「仕事」を提供し自立を応援するビジネスです。1冊450円の雑誌を売ると半分以上の230円が彼らの収入となります。