「どうせ無理」という言葉をなくしたい。NASA研究者も訪れる町工場「植松電機」

「ビッグイシュー日本版」273号から、読みどころをピックアップいたします。

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原点はアポロ11号と紙飛行機

最新号の特集は「宇宙開発」。民間で宇宙開発に取り組むプレーヤーを置いました。

この記事では、北海道赤平市でリサイクルのマグネットを製造する「株式会社 植松電機」の専務取締役の植松努さんについてご紹介します。

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「(3歳くらいの頃)大好きなじいちゃんのあぐらのなかで、月面着陸を果たしたアポロ11号の様子をテレビで観ていた記憶があります。はじめはじいちゃんが喜んでくれるのが嬉しくて、本屋にいったら飛行機やロケットの本ばかり買うようになりました。」

幼い頃から宇宙への関心を募らせてきた植松さん。小学生の頃には「紙飛行機」の制作にはまり、自分で制作した飛行機を飛ばす毎日。友達から「飛行機博士」と呼ばれていたそうです。

中学の進路相談では、「飛行機の設計士になりたい」という夢を語るも、先生から「東大に入らなければなれない、芦別に生まれた時点で無理だ」と頭ごなしに否定。

暗い顔で帰った植松さんを、お母さんは「”思いは招く”っていうよ」と励まし、設計の猛勉強を始めます。無事に設計を学べる大学に進学し、卒業したのちは航空宇宙関連企業に就職。経験を積み、故郷で父親が経営していた「植松電機」に参画します。

宇宙開発には興味はあったものの、仕事にはならない日々が続きます。そんななか、04年にたまたま「ロケットの部品を作れないか?」という依頼が舞い込み、宇宙開発への思いに火がつきます。

その先のロマン溢れるストーリーは、紙面をめくってお楽しみくださいませ。

「だったら、こうしてみたら」で難題をクリア

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わずか18人のスタッフで「宇宙開発」に取り組む植村さんは、こう語ります。

お金がかかり、頭が良くないとできないと誰もが諦めている宇宙開発を、もし僕たちができるようになれば、僕が学校で言われ続けてきた『どうせ無理』という言葉がこの世からなくなり、世の中が変わるかもしれない。

植松さんは『どうせ無理』ではなく、『だったら、こうしてみたら』と考えることで、ロケット開発への課題を次々に解決。現在では「音速の壁を越えて移動するための技術」を米国のロケットプレーン社と進めているそうなんです。

宇宙開発に対する考え方も、とても刺激的です。

宇宙開発に関しては儲けを求めず、やったことがなくて、おもしろそうなことだけをやろうと決めています。

誰かの出資や助成金に頼ると、相手が理解できる既存のものしかつくれなくなるから、僕たちはあくまでもマグネットで稼いだお金で、自由な研究開発を続けていくつもりです。

どこにも依存しない、自由な環境が、民間発のイノベーションを支えているのでしょう。

植松さんのTEDでのスピーチ

植松さんは「TED」でのスピーチでも、『どうせ無理』をなくせば世界が変わるという話をされています。ぜひこちらも併せてご覧ください!

路上にて273号を手に取り、植松さんの情熱あふれる仕事に触れてみてください。「どうせ無理」という言葉は、あなたのなかから消え去ることでしょう。

最新号では他にも、

・スペシャルインタビュー:マムフォード&サンズ

・リレーインタビュー:小野 真弓さん

・緊急レポート:人道支援と「受け売れの限界」の間で揺れ動くドイツ

・被災地から 放射能の問題は現在進行形。あきらめないシイタケ農家

などなど、多彩なコンテンツが掲載されています。ぜひ、路上にてお買い求めください!

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